遺族の代理人で元裁判官の片田真志弁護士は「刑事裁判の事実認定について、これまでの経験で十分理解しているが、司法解剖の際、死体検案書に『外傷性くも膜下出血が死因とみて矛盾はない』とされているのに、『この解剖結果から死因を特定はできない』という、普段見られないような中間報告書になっているのが不自然。こうした経緯を見るに、事実認定のあり方にも疑問が残る。なぜ不起訴なのか、理由がまったくわからない。それまで元気だった尚子さんが男性に殴られたという証拠上明らかな事実があり、外傷性くも膜下出血という診断が示されたにもかかわらず、暴行との因果関係がないとは思えない」と話す。
裕子さんは「限りなく”黒”に近い加害者を不起訴にするなら、納得できる証拠を示してほしかった。不起訴処分となった理由がいまだにわからない。検察は専門医の意見書も調べ直してほしい。男性からは反省の言葉もなく、損害賠償の支払いもない。再スタートを切るつもりで、男性から反省の言葉を引き出すまで、ずっと追いかけようと思う」と話した。
神戸地検は申し入れを受け「内容を検討の上、適切に対処したい」とコメントした。