温暖化ガス(CO2)の排出量実質ゼロを目指す「カーボンニュートラル」やSDGsを経営目標に掲げる動きが、大手企業を中心に加速している。この流れをビジネスチャンスと捉え、積極的に新たな事業展開を進めているのが、1915年(大正4)創業の産業機械・環境機器メーカー「梶原鉄工所」(姫路市飾磨区恵美酒)。6代目の梶原敏樹社長に意気込みを聞いた。
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――鉄工所というと、鉄を切ったりつなげたりするような仕事をイメージするが、主な事業内容は。
【梶原敏樹社長(以下、梶原社長)】 一般の鉄工所と同様に、圧力容器やボイラー、熱交換器を製造しているが、現在は製鉄所やゴミ焼却場、バイオマス発電所向けの集じん機(工場で発生する粉じんを捕集する装置)が主力となり、独自の〝梶原ブランド〟で全国の企業、自治体へ納入している。
――もともとは伊伝居(いでい、※姫路市内の地名)での創業。
【梶原社長】 川崎重工業(本社:神戸・東京)に勤めていた曽祖父が、軍需を取り込もうと旧陸軍の駐屯地近くで個人創業したのが起こり。カシメ加工といって、金属の板と板をリベットでつなぎ合わせる技術に秀でていて、姫路港に入った船のメンテナンスを依頼されることが多くなったので、昭和初期に移転してきたと聞く。ただ、現在地ではもう工場を拡張できないので、(姫路市)白浜町で新本社工場の建設を進めている。飾磨(しかま)には親しみがあるが、来年5月に移転する。
――環境分野への参入はいつから。どのような経緯で。
【梶原社長】 参入は戦後すぐと、播磨地域では早かった。経緯は記録にないが、スウェーデンの技術商社「ガデリウス」の製造パートナーとして付き合うようになったのが大きかった。以後、同社が欧米の最新産業機械の設計図を日本に持ち込み、それを当社が製造して大手の製造現場に納めるという仕組みを構築していった。
当時からの製品としては、例えば、火力発電所や重油だきの船で伝熱面に付着する“すす”を取り除くスートブロワ(すす吹機)がある。環境機器の先駆けとも言える装置で、そうした先進機器を製造する中で技術力を培うことができた。