【中将】 僕も初めは「なにゆうとんねん!」と思ったんですが、よくよく聴くと確かにそうなのかもなと……。「夏の扉」にしたってサビの「フレッシュ! フレッシュ! フレッシュ!」の高音部とかすごく性的な発声かもと。
【橋本】 何の扉を開いてるんですか(笑)。でも、聖子さんはいやらしい歌い方じゃないのにどこかに女を感じる声ですよね。デビュー当時はすごく清楚な雰囲気だし、見た目と声のギャップに萌えるという要素はあるかもしれません。
【中将】 「〇ックス」と聞くとギョッとしちゃいますが、たしかに歌って性的な要素は欠かせないんですよね。
さて、次に紹介する美少女ボイスの持ち主は聖子さんと同期デビューの岩崎良美さん。「化粧なんて似合わない」(1982)なんて超絶ウマいし、可愛いし、現代的な感覚でもグッとくるポップスだと思います。
【橋本】 この番組(ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』)が始まってからいろんな良美さんの曲を知りましたが、「タッチ」(1985)以外にもとってもいい曲が多いですよね。
【中将】 岩崎良美さんは「岩崎宏美の妹」ということでデビュー当初から知名度バツグンだったものの、楽曲がアイドル的じゃなくシンガーソングライター的な本格ポップスが多かったせいか、なかなか大ヒットが出ませんでした。「化粧なんて似合わない」はそんな悩ましい時期のシングルなんですが、初期に比べると少し可愛い発声を取り入れていてとてもバランスよく仕上がっています。こういう発声の微調整が後の「タッチ」の大ヒットにつながったのかなと思います。
【橋本】 これは私の持論なんですが……女性ってアイドルでわかりやすくかわいい路線の女の子は応援できるんですが、シンガーソングライターがかわいすぎると嫉妬の対象になってあんまり応援できないんですよ。だから良美さんもよりアイドル的な歌い方に寄せていったのがブレイクのきっかけになったのかなと。
【中将】 奥深い女性心理……! アイドル的なほうが男性も割り切って応援しやすいですしね。
【橋本】 アイドルファンとアニメファンって層がかぶるので、かわいいイメージを増してから「タッチ」に行ったというのは天才的な流れだと思います!
【中将】 いよいよ次でご紹介するのが最後の美少女ボイスになります。時間に限りがある中で榊原郁恵さんとどちらをセレクトしようか悩んだんですが、武田久美子さんの歌声はこの機会にぜひ紹介しておきたいなと……! 「シャワーホリデー」(1983)なんてたまんない感じです。
【橋本】 これまたクセが凄いですね! 私にとってはこっちのほうが〇ックス声ですよ(笑)。
【中将】 (笑)。「アン!」「イン!」みたいに母音のハネかたがすごいですよね。太田さんをはるかに上回る激甘なロリ声です。武田さんは中学生の時、東大駒場祭「第2回東大生が選ぶアイドルコンテスト'81」で優勝したのが芸能界入りのきっかけですが、高学歴の男子ってこういう感じが好きな人が多いのかもしれません。
【橋本】 女子ウケは難しいけどオタク好きのするタイプですね……。めちゃくちゃインパクトあったけど、武田さんが歌ってるイメージはあまりありませんでした。
【中将】 あまりヒットが出なかったので早々にアイドル歌手路線に見切りをつけちゃったんです。その後は女優として数々の作品に出演されたり、笹のふんどしを付けた「JUST A GIRL」(1987)、貝殻ビキニの「My Dear Stephanie」(1989)などの過激な写真集などで話題になりました。
【橋本】 伝説の貝殻ビキニですね……! イメージ変わりすぎて人生ジェットコースターだけど、デビュー時から見守り続けていたファンの方たちにとっては感慨深いものがあったでしょうね……。
(※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2022年8月7日放送回より)