ブームが続く「昭和レトロ」。当時を知る世代には懐かしく、若い世代には新しい魅力として受け入れられています。そんな中、今年6月、「水ヨーヨー」「パンチガム」など、戦前から1983年頃(昭和58年頃)に販売されていたおもちゃを詰め込んだ「昭和レトロ玩具 満足セット」が発売されました。この夏、自宅で遊ぶのにもぴったりとして、幅広い世代に人気のようです。
「昭和レトロ玩具 満足セット」(税込3,850円)を手がけたのは、パーティーグッズやバルーンをはじめ、イベント用品・縁日玩具などを取り扱うキッシーズ株式会社(本社:愛知県名古屋市)。セットには、今年で廃盤となる予定の「かみせっけん」を含め、昔懐かしい玩具が計29種類収められています。
昭和のおもちゃを販売することにしたきっかけや、実際の売れ行きなどをキッシーズ株式会社の細江さんに聞きました。
――「昭和レトロ玩具 満足セット」を企画したきっかけは?
【細江さん】 2020年〜21年にかけて、各所でコロナ感染防止のため、お祭り縁日を開けない日々が多くありました。私たちは縁日玩具の問屋という立場で、縁日玩具を作っている各メーカーにお世話になっていますが、当時は業界全体が以前より沈んだ雰囲気でした。そこで、縁日以外にもそういったメーカーの商品が販売できれば……と思い、「昭和レトロ玩具 満足セット」を発売することにしました。
また個人的なことでは、息子の小学校の授業で「昔のおもちゃで遊ぶ」というお題が出たそうで、1年生の息子が木の駒を回す練習をしていました。最初はなかなか回せませんでしたが、3週間後には回せるようになったのです。その時に「おもちゃを通して、小さい成功体験を積み重ねていくのはとてもいいな」と思いました。とくに、昔のおもちゃは練習しないと上達できないものが多いので、子どもたちの成功体験につながるものも多いのではないのかと考えました。
――企画・販売にあたって、工夫されたことはありますか?
【細江さん】 スタッフに、子どもの頃「昭和レトロ玩具 満足セット」に入れたようなおもちゃはどこで購入したのか? など聞き取りをしました。やはり、駄菓子屋さんという声が多かったですね。なんと偶然、子どもの頃、一緒の駄菓子屋に通っていたスタッフもいたり(笑)。思い出話に花が咲いて楽しかったです。
そのような声も聞きながら、中身の玩具選びは主に私自身でおこないました。あえて、お祭りや駄菓子屋さんで売っていたものを中心に選び、各おもちゃの製造会社に、発売年や販売のきっかけなども聞きました。“昭和レトロ玩具の魅力”として、その内容を多くの世代の方に知ってもらえるよう図鑑と銘打った冊子を作成、セットに同封しています。