コアラやヒツジ、カピバラなどたくさんの動物に出会えたり、季節の花の観賞や野菜の収穫を体験できる、農業公園『淡路ファームパーク イングランドの丘』(兵庫県南あわじ市)。
同園では「生き物の“なぜ?”に飼育員が答えます!」と題し『質問回収ポスト』を設置。来園した子どもたちが、動物の素朴な疑問を飼育員に聞けるシステムがあります。
特に夏休みは動物に触れあう機会が多いためか、いつもより多くの質問が寄せられるそう。そこで、ラジオ関西で放送されている『Clip』(月-木、午後2時30分~)の人気コーナー「どうぶつ通信」に寄せられた、リスナーからの質問に飼育担当長の後藤さんが回答しました。
◆「動物は虫歯になりますか?」(ラジオネーム:サークルさん)
【後藤さん】虫歯になります! 虫歯菌は糖分を栄養にしながら酸を出し、歯の表面を溶かしてしまいます。動物も同じで、糖分の多い食べ物を与え続けていると、虫歯リスクが高くなるのです。幸いにも、当施設でこれまでに虫歯になった動物は報告されていません。とはいえ、果物やイモなど、糖分を多く含んだ物は与える量に気をつけています。動物は人間のように歯磨きをしませんが、木をかじったりすることで自然に歯石が落とせます。また、老化に伴う歯の摩耗も虫歯の原因となるので、特に高齢の動物は日頃から念入りにチェックしていますね。
◆「イングランドの丘にいる動物の中で、いちばん食事代が高いのはどの動物ですか?」(ラジオネーム:カバの爺ちゃんさん)
【後藤さん】ロバやヒツジなどは、パーク内で大型とされる動物です。「たくさん食べるはずだから、エサ代がかかっているのでは」と、誤解されている方が多いのではないでしょうか? 実は、体の大きさの割にエサ代はかかっていないのです。草食動物に主に与えるのは牧草などを加工したもので、それほど単価は高くありません。それよりも、オウムやペリカンなど鳥類のほうがエサ代がかかります。果物や魚など、比較的単価の高い物を主食にしているためです。
ダントツでエサ代がかかるのは、コアラです! 彼らの食事といえば、ユーカリの葉っぱ。なんと国内生産しています。そのためには、ユーカリの木を育てるための広大な土地が必要です。さらに土地管理費用や人件費などもオンされるので、年間でかなりのお金がかかっているんです。「他の動物のように、人工飼料で飼えないの?」と思われがちですが、コアラはユーカリを消化するのに特化した、特殊な体のつくりをしています。エサを変えてしまったら寿命を縮めてしまう可能性も。実際、コアラの前にユーカリ以外の食べ物を差し出しても、見向きもしません(笑)。