《ウクライナ軍事侵攻から半年》「ロシアが変わるまで」国の生存かけた抵抗、止まらぬ戦い キーウを想う ナウモヴ・アンドリイさん | ラジトピ ラジオ関西トピックス

《ウクライナ軍事侵攻から半年》「ロシアが変わるまで」国の生存かけた抵抗、止まらぬ戦い キーウを想う ナウモヴ・アンドリイさん

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 アンドリイさんが最も訴えたいのは「この戦争で大切なのは、ウクライナの自由を守り抜くことと、ロシアを独裁国家から転換させ、民主的国家としてどの国家とも交戦しないような状況を作るべきだ」。これに尽きる。

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 アメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、全会一致でつくる最終文書を採択できず決裂し、閉幕した。ロシア軍が占拠したウクライナ南部にあるヨーロッパ最大のザポリージャ原子力発電所周辺での戦闘が止まらず、原発の安全が見通せない。最終文書の草案では、ロシアを直接名指しすることなく、原発周辺での軍事活動に重大な懸念を示し「軍事行動の結果、ウクライナ当局がこれたの地域を管理できなくなった」とした表現などをめぐり、ロシア1か国だけが反対。「核のない世界」への実現は合意間近で急転直下、遠のいた。
 ザポリージャ原発周辺では、8月25~27日にかけて、原子炉建屋から約100メートルしか離れていない廃棄物の管理や水処理などを担う建物が被弾した。
 ウクライナに侵攻して核の威嚇を繰り返すロシアは、核不拡散体制に対する信頼も大きく揺るがしている。

 アンドリイさんは、軍事侵攻開始直後からロシアに対する考え方が変わった。当初は「ソビエト再興という理想を実現するためのもの」と思っていた。
 しかし最近思うのは、「プーチン(大統領)はロシアのリーダーではあるが、戦争そのものはプーチン1人でやっているのではない、ということだ」と強調する。ウクライナでの虐殺や攻撃は、ロシアの”国家としての行為”であり、ロシアに住むさまざまな民族が、一方的なプロパガンダ(政治的宣伝)にさらされて「ウクライナは悪だ」という、徹底した否定という捉え方しかできなくなったとみる。
 そして「今、ロシアが置かれている状況は、歴史的に見ると”ナチス・ドイツ”としか比較できないと思う。ナチスの場合も、絶対的な指導者とされたヒトラーだけが悪であったかというと、そうでもない。当時のドイツ国民から多大な支持があり、国家としてユダヤ人を絶滅させるという目標があった。今のロシアも、ウクライナという国家の存在そのものを否定し、ウクライナ人、ウクライナ言語を絶滅させることを目的としている以上、領土を割譲するから、金銭を差し出すからという議論は通用しない」とみている。
 だから、「ウクライナ人が生き続ける限り、この”存をかけた戦争”は続くし、ロシアの立ち位置が6か月で変わるようなことは考えられない」と訴える。

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 ロシアが2014年に併合し、実効支配するウクライナ南部クリミア半島で8月に入り、謎の攻撃が相次いでいる。 黒海におけるロシアの軍事力を支える砦(とりで)とされるクリミア半島のロシアの軍事基地などが攻撃され、ロシア軍に心理的な影響を与えているという。クリミア半島の奪還を狙うウクライナの特殊部隊などが攻撃を強めている可能性もある。現にゼレンスキー大統領は独立記念日を前に「あらゆる手段で取り戻す」と述べているが、攻撃の主体は明らかになっていない。仮にウクライナ軍の攻撃だと明かすと、ロシア軍を挑発することになりかねないからとの見方もある。
 2014年、ウクライナの国民は親ロシアの大統領を追放した(ウクライナ政変、騒乱)。するとロシアは、ウクライナ南部のクリミア半島を併合した。
 アンドリイさんは 「あの時、ウクライナ人だけが『戦争だ』と騒ぎ立て、ロシアのプロパガンダに影響され、多くのメディアは『内戦だ』と報道していた記憶がある。しかし、現状を見れば、ロシア側が仕掛けた戦争だったと証明できる」と話した。
 そしてクリミア半島への攻撃が、ウクライナ軍による秘密作戦やゲリラの可能性もあるとしたうえで、「クリミアにはウクライナ人も住んでいるし、先住民族のクリミア・タタール人も住んでいる。ロシア人も住んでいるが、そのロシア人全員がこの戦争を支持しているとは限らない。毎日のようにクリミアの軍事基地から戦闘機が飛んできて街を爆撃し、それによって身内の命を奪われていることを思えば、当然の戦略だと思う」と話す。

 長期戦は必至、先が見えない。「もともとウクライナ人は自由が好きで、(旧ソ連による)束縛を嫌う気持ちは大きい。こうした中で軍事侵攻が始まり、精神力も軍事力も、強くなければ生きて行けない、そういう状況に陥ってしまっただけ」と話す。国民の自由のために、国家の自立のためには、戦いをやめるわけにはいかない苦悩がある。

 侵攻直後のようにSNSがブロックされることはなく、家族からウクライナでの日常のようすがスマートフォンに届く。
 アンドリイさんの家族は一時期、キーウから避難していたが、現在は実家に戻っている。母親(73)はキーウ市内のツアー・コンダクターとして生計を立てている。
 ウクライナが国として機能するには税収も重要で、戦場以外で暮らす人々は本来の仕事に戻るなど、 日常的な生活をする努力が求められているからだ。

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