できることなら、キーウへ帰って母に会いたいが、自身の日本でのビジネスがある。150人を超えるスタッフを抱えていため、それは叶わない。侵攻直後の2月から3月にかけて、ウクライナ向けの発送量が減った。しかし6月にはキーウ、 ドニプロペトロウシク、 ハルキウを中心に18州への物流を再開し、少しづつ利益率も回復しつつあるという。侵攻の長期化で 再び航空便が運休する可能性もあるが、アンドリイさんは会社の売り上げの1%をウクライナ政府に寄付、すでに4000万円近くにのぼるという。寄付は侵攻が終結するまで続ける。
日本で間接的に戦況を知るアンドリイさんの心は複雑だ。「侵攻直後、首都・キーウは3日で陥落か、と言われた。でも攻め落とされることはなかった。ウクライナを守るために、多くの命が犠牲になった。もちろん戦争が終わってほしいと皆が願っている。しかし、戦争が終わるということは、どちらかが勝ち、もう一方が負けるということ。重要なのは早く戦争を終わらせるという考え方ではなく、この戦争でウクライナが国家の独立を守り抜くこと」と、遠く離れた母国を思う。
※ウクライナ軍のザルジニー総司令官は8月22日、ロシアとの戦争でこれまでに約9千人のウクライナ兵士が死亡したと発表した。ウクライナ当局は、自国の犠牲者数についてこの時点までほとんど明かしていなかった.。