世界で初めてレストランを開いた男のヒューマンドラマ。映画『デリシュ!』が9月2日(金)、全国ロードショーされます。
時代は1789年、革命直前のフランス。主人公は宮廷料理人のマンスロンです。
マンスロンが仕えるシャンフォール公爵が、王宮に近い貴族たちを集めて食事会をするということで、マンスロンは料理長として腕をふるいます。
マンスロンはシャンフォール公爵自慢の料理人でした。食事を楽しんだ後、公爵が言います。
「マンスロン、完璧だった。七面鳥は堪能した。肉厚で喜びに満ち、繊細かつ極上の一皿。キュウリウオのブリオッシュは口の中で溶け、行儀がいい……」
ふと客のひとりがマンスロンに尋ねました。
客「ところでこれは何というパイかね」
マンスロン「それは、デリシューです」
客「この色の薄い野菜は何かね」
マンスロン「ジャガイモです」
客たちは驚き、マンスロンをなじり、料理の皿を投げつけます。
「トリュフとジャガイモは豚に食わせておけ!」
当時、土の中の作物は悪魔の産物と信じられていて、人が食べると病気になると考えて食用にするのを避けていました。
このデリシューは、薄切りしたジャガイモとすりおろしたチーズ、それにトリュフを交互に重ねて小麦粉の生地に包んで焼いた、マンスロンの創作料理でした。味はおいしくても、マンスロンのデリシューは貴族たちの反感を買いました。