JR明石駅と山陽電車・山陽明石駅から南へ歩いてすぐ。明石・魚の棚商店街で1872年(明治5年)に創業し、今年で150年を迎えた『林喜商店』は炭焼き穴子の専門店だ。
明石では古くから鯛やタコと並び穴子の水揚げ量が多く、炭焼き穴子は地元民にとって馴染みの味。5代目・代表取締役の林雄亮さんは「創業者が林喜八(はやしきはち)という名前だったため、当時は『きはっつぁん』と呼ばれ親しまれていたそうです」と話す。
林喜商店の朝は早い。夜明け前から炭を起こし、林さん自らの目で吟味した新鮮な穴子を一串ひと串手作業で串打ちしていく。代々受け継がれてきた穴子エキスたっぷりの秘伝のタレにくぐらせ、炭火でじっくりと火を通す。備長炭の高温と火力、そして遠赤外線効果によって外はカリッと、内側はふんわりとした食感に。独特の香ばしさと余韻を残す深い味わいが林喜商店の自慢だ。変わらない味は、地元のすし店や料亭からの信頼も厚い。
近年穴子の水揚げ量が減少し、15年ほど前からは明石産に加えて韓国産穴子の販売にも力を入れる。同じ種類の天然穴子ながら、食感や味にはそれぞれの良さがあるという。「明石産は潮の流れが速いことから身が締まり、白身魚らしいあっさりとした味わい。一方の韓国産は脂が乗り、ふっくらとした食感が丼によく合う」と林さん。酒と合わせるなら明石産は日本酒、韓国産はビールやハイボールとの相性が抜群だ。
以前は炭焼き穴子の販売のみを行っていたが「焼きたてをその場で食べたい」という客からの声に応え、店の隣に初代の名を冠した『食事処 喜八庵』をオープン。歴史を感じさせる古民家風の店内では、その日に焼き上がりが最も良い特選穴子を使った「あなご丼」や「あなご茶漬け」など、炭焼き穴子料理が存分に楽しめる。いずれも数量限定メニューのため、前日までに電話予約が必要だ。また、炭焼き穴子一串から贈答セットまで揃うオンラインショップも、明石名産を気軽に購入できるとあって人気を集めている。
炭焼き穴子一筋150年。伝統を守り続ける唯一無二の味わいを求めて、魚の棚商店街へ出かけてみては。(嵐みずえ)
※ラジオ関西『ばんばひろふみ!ラジオDEしょー!』2022年8月17日放送回、「魅力満載!海峡通信」より
◆株式会社林喜商店
住所:兵庫県明石市本町1丁目4-20
アクセス:JR「明石駅」・山陽電車「明石駅」より南へ徒歩5分
電話:078-911-3378
HP:https://www.hayaki.co.jp/
オンラインショップ:https://hayaki-anago.com/