2003年から本格的にクラシック曲の演奏をスタートした小曽根は、これまで何度もモーツァルトに挑戦したが、「どんなにクラシックのように弾いてみても、僕のモーツァルトはどこか違うみたいなんですよ」。今回は完璧にクラシック的に弾けたな、と手応えを感じた演奏の後、国際的指揮者ジョナサン・ノットに「ユア モーツァルト イズ ソー フレッシュ!」と言われたと笑う。
今年5月、ハンガリーで、ウクライナから避難してきた人たちを前に演奏会を行った。「避難できない人もいる中で、『自分たちだけ聴きに来ていいのか』と迷った人もいたことでしょう。でもそんな状況でもやはり聴きたいと思って来てもらえた。そこに僕が音楽を奏でる意味があると感じました」。
聴き手、プレイヤー、スタッフ。音楽を浴びながら同じ空間にいる人間たちは「その瞬間、運命共同体になっている。理屈ではなくて音で、ともに生きていることをみんなが実感している。音楽は、神様が作ったとんでもない言語だと思います」。口調が熱を帯びた。
(取材・文=青木理子)
◆第60回大阪国際フェスティバル2022
小曽根真×鈴木優人×大阪フィル ひかれあうジャズと古典ー2台ピアノの午後
日時:2022年9月17日(土)15時開演
会場:フェスティバルホール(〒530-0005 大阪市北区中之島2-3-18)
料金:S席7,500円、A席6,000円、B席5,000円、バルコニーBOX(2席セット)15,000円
問い合わせ:フェスティバルホール06-6231-2221
https://www.festivalhall.jp/events/562/