映像では姫路の二大文化資源、円教寺と姫路城を舞台とし、杉本氏が所蔵する桃山・室町時代の能面・装束を纏った能楽師が、自然光の中で前近代を再現。時間・歴史・人間の意識をテーマとする杉本氏の壮大な世界観を送る。
円教寺・常行堂は、天台宗特有の四種三昧(ししゅざんまい)のうち、「常行三昧(じょうぎょうざんまい)」という特殊な“行(ぎょう)”を修するために建てられた仏堂。1人の僧が90日間念仏を唱えながら阿弥陀様の周囲を歩みながらまわり続ける。せり出した舞台は、舞楽を奉納するためにある。
大樹玄承住職は「この空間がフィルターとなり、磨かれた芸能が浄化される」と話す。円教寺の読経(主に法華経)や声明(天台声明)は、他の天台宗寺院と異なる独特の節があるという。特に法華経を音曲的に読む読経道(どきょうどう)のルーツとも言われ、現代になりこれらの復元の動きもある。「中世の時代の人たちもこの音、この匂いを感じていたのか」そんな空間を提供している。
◇『Noh Climax(能 クライマックス)』翁神男女狂鬼
●会場 書写山円教寺・常行堂(国指定重要文化財) (兵庫県姫路市書写 2968)
●会期 2022 年 9 月17日(土)~12月4日(日)10 時~16 時 ※会期中無休
●観覧料 一般 500 円、大学生・高校生 200円、中学生・小学生 100 円、未就学児は無料
※円教寺入山時には志納金500円が別途必要(高校生以下は無料)
◇ 「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」
姫路市立美術館は、「アートはライフ(命・一生・くらし)に溶け込んでこそ真価を発揮する」をモットーとして、アートのプラットフォームとして、海・島・山・森林・田園、ひめじ全域が擁する地域文化をアートの力で市民ライフの糧として再発見するとともに、新たな姫路の魅力を国内外に発信するアートプロジェクト「オールひめじ・アーツ&ライフ・プロジェクト」を推進している。
◇「杉本博司 本歌取り─日本文化の伝承と飛翔」
●会場 姫路市立美術館 企画展示室(兵庫県姫路市本町68-25)
●会期 2022年9月17日(土)〜11月6日(日)
※会期中、展示替えあり(前期 9月17日(土)〜10月10日(月・祝) / 後期 10月12日(水)〜11月6日(日))
●開館時間 10:00〜17:00(入場は16:30まで)
●休館日 月曜日 ※ただし9月19日(月・祝)と10月10日(月・祝)は開館、9月20日(火)、10月11日(火)
●観覧料 一般 1,200円(1,000円)、大学・高校生 600円(400円)、中学・小学生 200円(100円)
※( )内は20人以上の団体料金