さまざまな動物たちに出会える動物園。園外からやってきた動物たちが公開されるまでに、バックヤードではじつにさまざまな準備が行われています。
今回、私たち「見る側」が知らない動物園の裏側について、『淡路ファームパーク イングランドの丘』(兵庫県南あわじ市)飼育担当長の後藤さんに話を聞きました。
――あたらしくやってきた動物が初披露される時は、ワクワクします! そもそも動物ってどのようにやって来るのですか?
【後藤さん】動物は専門の業者を通して「購入」したり、ほかの動物園から「譲渡」されたり、動物園同士で「交換」というパターンがあります。また、最近は「ブリーディングローン」という繁殖を目的として動物を借り受ける方法もあります。
――あたらしく来た動物はすぐに公開されるのですか?
【後藤さん】すぐに公開することはありません。動物がどのような方法でやってきたとしても、公開できる状態とはいえません。そのため、一般公開までにはさまざまな準備や調整がおこなわれています。
例えば「検疫」。これは、動物が健康な状態か、悪い病気をもっていないかなど、一定期間検査をし、必要であれば治療や健康状態を整えます。
また、与えられる飼料や担当飼育員などを含め、動物が“あたらしい環境”に適応するための訓練もします。
――動物園に来てすぐに一般公開されるのではなく、まずは環境になれさせる訓練が必要なんですね!
【後藤さん】そのとおりです。あたらしい環境は、感覚が敏感な動物たちにとってストレスの原因にもなります。食欲が落ちたり体調を崩すことだってあります。
彼らにとって一般公開までの時間は「慣らし期間」として、とても重要なんです。環境になじませるひとつの方法として、ときには「ラジオ」を聴かせることもあります。