さらに翌年の1968年には、トップ10のうち、すべての機械式時計を、GSを含むセイコーのムーブメントが独占するというとんでもない偉業を達成します。しかし、それがスイス時計の威信を損ねてしまったのかどうかはわかりませんが、コンクールはこの1968年を最後に終了してしまいました。
このコンクールに向け、各社は特別に、オリジナルの機械を作成し出展していました。よって、コンクールで上位を取ってもそれらのモデルが販売されることはありませんでした。セイコーも最初はオリジナルで作成していましたが、この1968年のコンクールは、GSを含む一般販売される「市販機」をベースに、細かく調整したものを出展していたのです。
しかも、このコンクールに出して精度証明された73個の時計がのちに市販されました。これらの個体は今でも希少価値が高く、どれも100万円以上の値が付いています。
◆長年の休眠を経て……革新的技術で復活!
1969年、セイコーは世界初のクォーツウォッチ「アストロン」を発売し、世界中に広く普及させました。その一方で、機械式時計は窮地に立たされ、自らの首を締める形で、同じく機械式のGSは1975年を最後に休眠状態に入ります。GSがリスタートするのは、1998年のこと。2004年には、GSが約20年の開発期間を要した夢のムーブメント「スプリングドライブ」を搭載したモデルを発表しました。
2017年には、GSはセイコーのサブブランドという存在から独立したブランドへ転身、世界へ進出していきます。RYさんは、「技術的にはものすごい時計ですが、そのシンプルなデザイン故に世間では過小評価されていると感じます。個人的にGSは、ロレックスやオメガと並ぶ世界最高の“実用高級時計御三家”だと思っています」と評します。
◆それでも言いたい! RYさんがGSに求める「4つのこと」
しかし、GSファンとしてRYさんは個人的に提言したいこともあるようで……。
「1つ目は、『永久修理保証』です。IWCやパテックフィリップなどがそうですが、『お金がかかってでも必ず直します』という永久保証を謳っているブランドがあります。GSもそうなれば、ブランドの格をまた一つ上げることができるのではないでしょうか。2つ目は『新品保証期間10年』。今の保証期間は5年で、ロレックスやオメガと同じ。他は2年に設定しているブランドが多いですね。ただ、上を見れば『8年保証』のブランドがあったりします。5年という期間も、自社製品への自信の現れとして素晴らしい数字なのですが、ここは他のブランドに先駆けて、10年を打ち出して欲しいな、と思いますね」