50周年の西宮市大谷記念美術館、同い年の現代美術とともに祝う特別展「Back to1972」開催 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

50周年の西宮市大谷記念美術館、同い年の現代美術とともに祝う特別展「Back to1972」開催

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 今年開館50周年を迎えた西宮市大谷記念美術館。1972(昭和47)年の開館当時はどのような作品が生み出されていたのか、どのような時代だったのかを紹介する特別展「Back to1972 50年前の現代美術へ」が、同館で開催されている。2022年12月11日(日)まで。

西宮市大谷記念美術館

 1972年には、札幌冬季オリンピック、沖縄本土復帰、日中国交正常化、パンダ初来日などの出来事があった。その年に故大谷竹次郎氏の本宅を活用してオープンしたのが西宮市大谷記念美術館。当時は靴を脱いで上がっていたという。特別展では同じ年に制作された関西の現代美術作品などおよそ200点が並ぶ。

 1954(昭和29)年に芦屋市で結成されて以後、前衛的な活動を続けてきた具体美術協会。1970(昭和45)年の大阪万博に参加した後、かつての勢いを失いつつあった中、代表を務めた吉原治良が1972年2月に急逝し、具体美術協会は3月末に解散する。それからグループとして活発な活動がなく、多くは語られてこなかったが、吉原の死後わずか1か月半で解散という道を選んだ状況を、残された作品や資料から探る。

 既成の枠を超える新たな表現に取り組む作家も多かったものこの時代で、関西を代表する彫刻家のひとり・福岡道雄は高さが2メートルほどある「蛾」を手掛けた。それまでの福岡は「ピンクバルーンシリーズ」と呼ばれる多くの風船の具象彫刻を発表していて、「蛾」はターニングポイントとなる作品として重要な位置づけとされている。

 1970年から80年代にかけては版画を取り扱う画廊が増え始め、多様な表現が制作されたことから「版画の黄金時代」と呼ばれた。榎倉康二の作品《二つのしみ》は工業用油をインクとして、綿とフェルトという2つの違う素材に印刷した。同じしみなのに、にじみ方などに違いが出た。学芸員の作花麻帆さんは「版画の可能性が広がってきた時代」と話す。

 会場には作品の他、「1972京都ビエンナーレ」の会場の記録写真や、1972年の西宮の様子を撮影した写真(のスライドショー)などもあり、当時の様子をうかがうこともできる。

 また同美術館では「おかげさまで50周年企画」として、毎日先着30人に、オリジナルドリップパックコーヒー1個がプレゼントされるほか、開館記念日の11月3日(木・祝)は無料開館する。また美術館と同い年の1972年生まれの人は会期中入館無料になる。


◆開館50周年記念特別展「Back to 1972 50年前の現代美術へ」
会場 西宮市大谷記念美術館(兵庫県西宮市中浜町4-38)
会期 2022年10月8日(土)~12月11日(日)
休館日 水曜 ※ただし11月23日(水・祝)は開館 翌24日(木)は休館

【西宮市大谷記念美術館 公式HP】

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