ひきこもり経験者が振り返る、ひきこもりの発端とひきこもり中の胸の内 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ひきこもり経験者が振り返る、ひきこもりの発端とひきこもり中の胸の内

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▽ひきこもり生活を満喫していた時期も
―ひきこもっていた時は、どんな生活を送っておられましたか。

米夫:僕は計10年ひきこもっていましたが、時期によって生活の仕方や考えていたことは違います。最初の3か月はひたすら無気力でずっと寝ていました。その次はゲームに夢中な時期が続いて、将来の不安なども考えずに、ひきこもり生活を楽しく満喫していました。2年ほど経った頃、このままじゃ駄目だと思い、大学を受験しようと予備校に通いますが続かず、再びひきこもりになるということを何度か繰り返しました。その後は自室でネットばかりして、ネット掲示板のまとめサイトでしか人の意見を目にすることがなく、考え方が凝り固まっていった。何度も現実から逃げたした自分はもう駄目だと思うようになりました。

―ご自身を否定する方にどんどんいってしまったのですね。

米夫:外に出るのを諦めてしまったので、その時はやはり自分は駄目だなと責める気持ちが強くなっていきました。

―親御さんとの関係はいかがでしたか。

米夫:昼夜逆転の時は家族とまったく話さないという時期もありましたが、普通に話せる時期もありました。一方で、両親を理不尽に感じることがあって、僕がものを壊したり、父ともみ合いになることもたびたびあった。でも母と一緒に夕飯を作ったりすることもあり、家族との関係はそこまで険悪ではありませんでした。当時は知らなかったのですが、母はひきこもり関係の会に参加して、僕を理解しようとしてくれていたようです。

―それはとてもありがたいですね。

米夫:そうですね。当時、ひきこもり関係の本が本棚にあるのを見ると、僕に対する当てつけか、みたいに考えてしまっていたんですが、今にして思えば、すごく考えてくれていたんやなと思います。

▽地球の成り立ちから調べ始めた
―トシさんはどのような生活だったのでしょう。

トシ:僕の場合は、最初の数年間の記憶があまりないんです。ネットの掲示場やニュースサイトを巡り歩いて、自分がどうしてこうなったのかとか、自分だけがこうなのか、とかを探りました。ストレートに「ひきこもりとは何ですか」みたいな検索は抵抗感があり、もう少し根本的なところからいこうと。例えば地球の成り立ちとか。そこから始めていました。

―ということは、プラスかマイナスかでいうと、マイナスばかりではなかったと。

トシ:マイナスから逃避するために何かプラスになることをしようというか、バランスを取ろうとしていたのだと思います。

―自分の中のバランスですね。ご家族との関係はどうでしたか。

トシ:家族との関係はひきこもる前から悪かったですね。意思の疎通がうまくいかない。お互いに相手の考えていることが分からないという状況がかなり長く続いていました。それがストレスの1つになってひきこもりになった。でもひきこもりになったことで、それまで衝突しても互いに意味が分からなかったことが表面化し、本音で向き合えるようになっていったんです。

船越:お二人とも自信を失ってしまった中で、何かをしなければと苦しんでおられたのですね。一方でご家族も関わり方が分からず、しんどい思いをされていたのでは。お二人もそういったご家族のことを感じ取って、余計しんどくなることもあったのではないでしょうか。

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