金剛三昧院はこうして将軍家の菩提寺となり、北条・足利・安達など鎌倉幕府の有力な武家が帰依した。寺領(お寺の所有敷地)も高野山内で一番多く、幕府と高野山とを結ぶ寺院であったため、高野山の中心的寺院の役割を担った。同時に、大寺院などが自衛のために武装して僧兵集団を形成した時代で、高野山で監視的な役割を担ったという言い伝えもある。
■「後家の力」に見る鎌倉時代の女性の位置づけ
坂口准教授は「武家政権では男性社会というイメージを持たれがちだが、実は女性の存在感が重要だ」と見る。江戸時代と異なり、鎌倉時代は武家での「後家(ごけ・未亡人)」の裁量権が大きかったという。そして、夫・頼朝亡き後、北条義時が幕府で力を振るうようになったのは、義時が政子の弟だったことが大きいと指摘する。これを「後家の力」と称する歴史研究家もいるほどで、女性はあなどれない存在だったという。
こうしたことから、「鎌倉時代での女性の位置づけは、室町後期から戦国時代、江戸時代の武家社会のイメージでとらえると理解し難い」と話す。
金剛三昧院・本坊では「秋の特別拝観」として、北条政子の書状など寺宝が特別展示されている(~11月27日)。
拝観時間は8時~17時(※平日の拝観料は300円)
■多宝塔特別拝観<2022年12月18日までの土曜・日曜・祝日>
拝観料500円
■特別拝観(寺宝展示)<2022年11月27日まで>
拝観料800円
◆世界遺産高野山 金剛三昧院
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