不動さんにとって、コロナ禍で灯台の取材ができない空白期間だったが、嬉しい出来事もあった。2020年、初めて現役の灯台が国の重要文化財に指定され(博物館明治村に移築された旧品川燈台は1968年に重要文化財指定)、その後は毎年のようにその数を増やし、現在は13基の現役灯台が重要文化財となったのだ。
■2020年度指定:角島灯台(つのしま/山口県下関市)、犬吠埼灯台(いぬぼうさき/千葉県銚子市)、部埼灯台(へさき/福岡県北九州市)、六連島灯台(むつれしま/福岡県北九州市)
■2021年度指定:御前埼灯台(おまえさき/静岡県御前崎市)、美保関灯台(みほのせき/島根県松江市)、江埼灯台(えさき/兵庫県淡路市)、出雲日御碕灯台(いずもひのみさき/島根県出雲市)
■2022年度指定:経ヶ岬灯台(きょうがみさき/京都府京丹波市)、清水灯台(しみず/三保灯台とも 静岡県静岡市)、菅島灯台(すがしま/三重県鳥羽市)、鍋島灯台(なべしま/香川県坂出市)、尻屋埼灯台(しりやざき/青森県東通村)
短期間にこれだけの灯台にスポットが当たるようになった。灯台への“ハグ”や“キス”を写真に収めている不動さんは「ようやく行動制限もなくなったので、重要文化財に指定された灯台に会いに行きたいです。「おめで灯台!」とお祝いをしたいものです!」と喜びを隠せない。
◇2022年は「フレネルレンズ」発明200周年!
そして2022年は、「フレネルレンズ(灯台の光を遠くまで届けるためのレンズ)」が発明され、200周年という記念すべき年。フランスの物理学者、オーギュスタン・ジャン・フレネルは、凸レンズの表面を再構築させることで薄く、光力を損なわないレンズを1822(文政5)年に発明した。
フレネルレンズとは、レンズ表面に同心円状の切れ込みを入れ、角度をつけてカッティングを施したレンズで、1つ建造するのに大変な労力を要するものだが、翌1823年7月25日に、“海のヴェルサイユ”、“灯台の王様”などと呼ばれるフランス・世界文化遺産、コルドゥアン灯台で実用化された。
当時、日本は江戸時代で、海はすごく暗く、西洋式灯台も存在していなかったため、日本式の灯台ともいえる”燈明堂”などに、油に浸した灯芯に火をつけて”小さな小さな灯り”を頼りにしていたという。