今年の春、人口56人、高齢者が7割超の兵庫県丹波篠山市市野々集落で、20年ぶりに新生児が誕生しました。加藤俊希さん(29)と梨絵さん(31)夫妻のもとに生まれた赤ちゃんは”蔵之助”くんと名付けられ、すくすくと成長中です。
以前は大阪のワンルームマンションで暮らしていたという俊希さんと梨絵さん。昨年9月に一野々へ移住し、自然豊かな土地で子育てに励んでいます。いったいどのような暮らしをしているのでしょうか? 加藤さん夫妻に話を聞きました。
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――まず、移住したきっかけを教えてください。
【俊希さん】 私は、フリーランスでIT関係の仕事をしており、妻は助産師として働いていました。コロナ禍の影響で(フルリモートで対応できる)IT業界では地方移住が流行しており、私たちも近畿圏で古民家を探すなどしていました。
そんな中、昨年2月、妻の実家がある明石(兵庫県)にも近い丹波篠山市が売り出している(※1)古民家を見つけたのです。募集の締切は3月末。ギリギリのタイミングだったので、他の物件を見ずに「ここだ! もう勢いで買っちゃえ!」と思い切って購入しました。迷うことなく決意できたのは、むしろ良かったかもしれません。
――市野々集落の印象は?
【俊希さん】 第一印象は「ザ・農村!」という感じでした。空気や気候も気持ち良く、都会と全然違うなあと。人の手が加わっていないそのままの自然に引かれ、それが移住の決め手となりました。