社会課題解決型製品を産学連携で次々開発 国産発泡スチロールの先駆け 兵庫・たつの市「龍野コルク工業」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

社会課題解決型製品を産学連携で次々開発 国産発泡スチロールの先駆け 兵庫・たつの市「龍野コルク工業」

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――状況打開にどう取り組んだのか。

何が何でも自社製品を作ろうと考えた。異業種の企業や大学との連携に活路を見出そうとして、私が2001年に代表に就いてから「はりま産学交流会」に加入した。最初に神戸学院大総合リハビリテーション学部の教授と知り合い、発泡ビーズを使った特許出願中の介護用体位固定具を見てもらうと、その原理を応用した腰痛緩和クッションがあっという間に新商品になった。

これが契機となって発泡ビーズの特性を活かしたさまざまなタイプの機能性クッションの開発が進み、今ではカラーバリエーションを含むと200以上のアイテムが揃うまでになった。最近では兵庫県立大学環境人間学部の教授との共同研究で、座るだけで骨盤底筋群(骨盤内にある臓器を支えている筋肉)を刺激して尿漏れを予防するクッションも開発した。医療・健康グッズは百貨店やカタログ通販で人気を集めている。

専門家の監修によって開発された様々なタイプの機能性クッション

――製品分野ごとの現在の売上構成比は。

医療・健康系が15〜20パーセント、二次加工品が20〜25パーセントで、それ以外が一次加工の成形品。二次加工品は成形品を熱線や刃物で切削したものにウレタンコーティングや塗装を施した製品で、用途は断熱パネルや化粧建材、食品コンテナなどアイデア次第で無限。祭り屋台の布団飾りの芯や腐食・地震に強い鳥居といった変わり種もある。医療・健康系も二次加工品も、もともと売上がほぼゼロだったのが、産学交流会を通じてさまざまな分野の専門家と企業、ひょうご科学技術協会や新産業創造研究機構(NIRO)といった支援機関に出会えたことで伸びてきた。

――今、脱炭素は化石燃料が欠かせない事業にとって逆風。どのように生き残りを図る。

今、我々がキーワードにしているのが「快適」と「健康」。日本では医療費が年間40数兆円、介護費も2025年には15兆円に達すると言われている。まずは医療・健康グッズを広めることでこれらを抑制し、教育・子育てに回る国家予算の増額につなげたい。

もう一つ、新たなキーワードに「低炭素社会への貢献」を掲げた。原料は地球温暖化の原因の一つでもあるが、我々の製品を使うことで、逆に化石燃料の消費量を縮減できるということを広めていく。自動車部品の軽量化、住宅や家電の遮断熱対策などで、日々の生活におけるエネルギー使用量を減らしていきたい。

同じ考えのもと、直近では新開発の家庭用生ゴミ処理機を発売した。微生物が生ゴミを分解する温度条件を整えるのに発泡スチロールの断熱性が最適で、生ゴミが確実に消えていく。見ていても楽しく、同じ体験を分かち合えたら世の中に一気に広がっていくだろう。一般家庭から出る年間1千万トンの生ゴミを乾燥させて燃料化するのに必要な熱量は、灯油で換算すると約60万トン。この問題を解消する一助にもなる。

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