コロナ禍でリモートワークが増え、昨今は地方移住をする人も増えてきていますが、未だ過疎化が問題となっている地域は数多く存在します。それらの地域では、さまざまな問題があるなか、法律家への相談や依頼が困難な状況である「司法過疎」も問題のひとつとなっています。
過疎化が進む地域のひとつである兵庫県丹波市で「司法の過疎化をなくそう」と、お寺の住職とタッグを組んでお悩み相談を受けるなど、地域に密着してさまざまな活動をする金子敬之弁護士に話を聞きました。
ーー司法の過疎化にはどのような問題があるのでしょうか。
【金子弁護士】 裁判所はあるのに弁護士がいない、という地域が昔はたくさんありました。私が現在事務所を構える兵庫県丹波市もかつては弁護士がおらず、弁護士会から派遣され、丹波市で唯一の弁護士として活動していましたね。以前は、もめごとがあったら議員が間に入ることもあったそうです。
司法過疎地では、伝統的な人間関係で問題が処理されて法的な正しい対策が取られていなかったり、プライバシーが十分に尊重されないこともあります。弁護士に相談すればすぐに解決できることも、そのまま泣き寝入りしてしまうというケースも考えられます。
ーーそんななか、金子先生は司法の過疎化をなくすべく活動されているのですね。
【金子弁護士】 丹波の皆さんの身に起こりうる法的問題を全般的に扱う弁護士として活動しています。言ってみれば、かかりつけ医(ホームドクター)ならぬかかりつけ弁護士(ホームロイヤー)です。何か問題が起きたときに、安心して相談していただけるようになりたいと願っています。
ーー活動の一環として「お寺の住職と弁護士が一緒に悩みごとを聴く」というユニークな活動をされているそうですが、どのような取り組みなのでしょうか。
【金子弁護士】 丹波市にある「青蓮寺」で、月に1回「あなたのお悩みお聞きします! 和尚と弁護士の悩みごと相談」と題し、青蓮寺の住職とともにみなさんの悩みに無料でお応えしています。2012年から始めて今年で10年になります。