商売繁盛の神様「えべっさん」の総本社・西宮神社(兵庫県西宮市)は、大勢の参拝者が開門と同時に参拝一番乗りを目指し境内を走り抜ける1月10日の伝統神事「開門神事・福男選び」を、来年(2023年)は3年ぶりに開催すると発表した。
新型コロナウイルスの感染状況や感染防止対策などを鑑みて、従来の開催時より参加者を絞る。
開門神事は、鎌倉時代の文献にもみられる「忌籠(いごもり)」により、1月10日午前0時にすべての神門を閉じて神事に入り、忌籠が明ける午前6時に表大門を開く。その際、参道を走って本殿一番乗りを競う「走り参り」の風習が江戸時代から自然発生的に起こったとされる。
福男選びは開門と同時に約230メートルを疾走、その年の「一番福」から「三番福」を目指して健脚を競う。福男による鏡開きも恒例行事。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2021、22年は走り参りは中止され、午前6時に表大門は開いたが、走り参りは行わず、参拝者を係員が本殿まで歩いて誘導した。2年連続の中止は、全国的に祭りでの雑踏事故が相次いだ影響で、警察からの指導があった1966・67(昭和41・42)年以来。太平洋戦争中、1945(昭和20)年8月の米軍空襲での被災で、1946~52(昭和21~27)年にも中止されている。
■走り参り抽選対象者は300人減、1200人に
2023年はコロナ対策の一環で、スタート時に前列に並ぶための抽選の対象者を、従来の1500人から1200人に絞る。走り参りで本殿への先着3人を一番福から三番福に認定するが、福男による鏡開きやお神酒の振る舞いなどの恒例行事は中止する。
なお、年末年始の密を避けるため、2022~23年も12月1日~2月28日を「大福初詣」の期間として十日えびす限定の縁起物などを並べて、分散参拝を呼びかける。例年、約100万人が訪れる十日えびすを前に行われる恒例行事、「招福大まぐろ」へのさい銭張り付けはなく、観覧のみとする。
◆令和で唯一行われた2020(令和2)年の開門神事(ラジオ関西公式Twitterより)