――特に人気の出土品は?
【原田さん】 やはり、前回に引き続き「壺に入れられたヒトガタ」は人気がありますね。用途は解明されていないものの、さまざまな考察があります。「呪いの道具だった」という見方もあれば、「医療行為に使われていたのではないか」という話も。はたまた、ただ単に“ヒトの形”をしているものをそのまま捨てるのははばかられるため、「人に見られないよう壺に入れて始末したのではないか」という考察もあります。
ほかに人気なのは、15点展示されている「犬形土製品」。もともとは大阪で多く作られていたもので、同様のものが奈良でも出土されたのですが……。なぜか奈良の犬のほうが少し太っちょ。犬種の違いというわけでもなく、まだまだ考察の余地があるとのことです。
――お客様が自分の解釈を発表できるコーナーを設置した狙いとは?
【原田さん】 せっかく用途不明なものを展示しているのだから、「みんなで考えてもらおう」「共有して楽しんでもらおう」という発想です。こちらのコーナーのおかげで、展示会に長く滞在していただける方が多いようで……。さまざまなことを考えてご覧いただけるのは、こちらとしてもうれしい限りです。
――訪れた人の解釈で面白かったものは?
【原田さん】 紀年銘(年号)の墨書(ぼくしょ)のある石が展示されているのですが、こちらの使用用途の考察に面白いものがありました! 「いつ仕込んだのかわかるように、酒や漬物を入れたかめの上に置いたのではないか?」という意見が非常に印象に残っています。我々では思いもよらぬ発想が検証のきっかけになることもあるので、思うことがあればぜひなんでも教えてほしいですね。
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使い道はわからなくとも、なぜか心ひかれるものがある出土品たち。実際に足を運んで、あなたならではの考察を巡らせてみてはいかがでしょうか。
◆令和4年度秋季特別展「また!ナニこれ?」
会場:奈良市埋蔵文化財調査センター 展示室(〒630-8135 奈良県奈良市大安寺西2丁目281)
会期:2022年10月1日(土)~11月30日(水)
開館時間:午前9時~午後5時(入館は午後4時半まで)
休館日:11月は土・日・祝日休館。ただし、11月3・19・20日は開館。
入館料:無料
問い合わせ:同センター、電話0742-33-1821