DMでは服装のほか、「お伝えしたトークで店舗の担当にお話頂き購入につなげて頂きます」と、店員と話すときの内容にまで触れています。購入するためのトークのマニュアルがあるのでしょうか。「結婚のタイミングで……」「昇進して部下ができることになって……」など、腕時計を購入する理由はいくつか思いつきますが、RYさんは、「『マニュアルに則ってしゃべっているな』ということは店員さんも気付くと思います」と釘を刺します。RYさんが購入した際には、「すみません、サブマリーナーはありますか?」と、ストレートに店員に聞いたそうですよ。
◆ロレックスの現状と今後
このような組織的な転売業者が出現していることからも、ロレックスの品薄はまだまだ続きそうだということが想像できます。現状、店舗を覗いても、人気のプロフェッショナルモデルはもちろんのことながら、オイスタースチール(ステンレス)が使われたモデルを見つけることはごくまれなことで、並んでいるのは貴金属が素材に使われた、高額なレディースモデルのみ、という光景が一般的です。ただ、RYさんは、一時期には異常な高騰を見せていた二次流通価格は、少しずつも落ち着きを見せているとも指摘します。正規店で、ショーケースにならんだ中から欲しいモデルを比較して、購入することができる日が来るのが待ち遠しいですね。
最後にRYさんは、「ロレックスを正規店で購入し、それを売却した時の利ざやで数十~数百万円を得る、というのは魅力的に思うかもしれませんが、ロレックスと過ごす日々というのはそれ以上の価値があると思います。僕自身もロレックスを着けていることで世界が広がった人のうちの一人です。もしも目先の小銭にとらわれ、すぐに転売して数十万円のお金を得ていたら、今の自分はいませんでした」と振り返ります。
今回、紹介したDMは氷山の一角にすぎず、ロレックス以外のブランドでも行われていることかもしれません。甘い誘いの裏には、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性が十分に潜んでいます。「たった数時間で数十万〜数百万円の報酬」などの言葉は一見、魅力的なものですが、マナーやモラル云々以前に、反応はしないほうがよいでしょう。
(ラジオ関西Podcast『やさしい腕時計』 #23『ロレックスの「購入代行ビジネス」が横行しているってホント?』より)