【工藤さん】 現代的な人権侵害のパターンだと思います。私が子どもの頃は携帯やスマホがなかったため、直接的ないじめがあったとしても、ネット上でいじめられるというようなことはありませんでした。しかし今は、学校から帰っても24時間SNSなどでつながることができるので、逃れられませんし、保護者や教師が気付きにくいので複雑化してしまうんです。
大人でも同じことが言えます。最近あったのが、人権を侵害する書き込みに対して「いいね」をしたことが人権侵害だと、東京高等裁判所で認定された例です。ネット上では、匿名による書き込みが可能なことを悪用して、個人の名誉やプライバシーを侵害したり、差別を助長したりするなど、さまざまな人権問題が起きています。
――もし悩みがあったとしても、自分の悩みが人権に関わることなのかがわからないため、人権擁護委員の方に相談して良いのか迷ってしまうと思います。
【工藤さん】 日本人は権利を主張しにくい国民性なんですよね。我慢して、抱え込んでしまうという人が非常に多いんです。難しく考えなくてかまいません。基本的人権というのは、「自分の心と体を大事にする。そして他人を思いやる」ということです。
もし、“こんな形で嫌なことを受けた”、“嫌な思いをしたけれど、これはどうなんだろうか”と思われることがあったら、遠慮なく私たちに相談してほしいです。意外と、自分に近しい人より話せることもあると思いますし、面と向かって話しにくいことでも電話であれば話しやすいと思います。窓口を設けておりますので、悩みを抱えずにまずは相談してください。
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人権擁護委員への相談窓口「みんなの人権110番(全国共通人権相談ダイヤル)」は、電話0570-003-110。受付時間は、平日午前8時30分から午後5時15分まで。