看護職の育成に特化した神戸市立の四年制大学、神戸市看護大学（神戸市西区学園都市）が、来年度（2023年度）から入学金の引き下げと市内就職者への奨励金支給制度をスタートします。看護職のニーズがますます高まる昨今、地域で学生を育むための同大学の取り組みなどについて、神戸市看護大学の植村茉菜美さん（事務局経営管理課）と樋渡佑里さん（教務学生課）に話を聞きました。
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――まず、神戸市看護大学はどんな大学なのか、教えてください。
【植村茉菜美さん（以下、植村さん）】 本学（神戸市看護大学）は、1996年4月に開学し、今年で開学26年目となります。地域の保健・医療・福祉に貢献できる看護の専門職を育成することを使命とする、看護の単科大学です。
本学が誕生した1996年は、阪神・淡路大震災の翌年であり、日本では初めてと言われるほどのたくさんのボランティアが、神戸市などの被災地に駆け付け、人々の「心のケア」の大切さが認識されるようになった頃でした。そのなかで、本学は復旧・復興過程の1つの光として、身体と心のケアの担い手である看護職の育成と、看護ケアの研究の拠点として、市民はもとより国内外の方からも期待されてきました。
また、開学のときから、本学は社会のニーズの変化に敏感に対応して、看護職の育成に取り組んでいます。たくさんの卒業生が、保健師、看護師、助産師として活躍しています。
――キャンパス、設備面、授業のカリキュラムなどで、何か特長的なことはありますか。
【植村さん】 本学のキャンパスは、フローレンス・ナイチンゲール（※近代看護の発展に貢献した看護師）が誕生したイタリアのフィレンツェの街並みをイメージし、あたたかみのあるデザインになっています。これまで映画などの撮影場所としても利用されています。
学舎や設備面では、単科大学でありながら、高機能なシミュレーターやスマートインフィルなどの最新設備を備えた実習室や、非常に多くの医療系専門書や一般図書を備えた図書館もあり、看護実践能力を磨くための環境を整えています。また、今年度は、学生にアンケートを取り要望の多かった、トイレの美装化改修工事も行いました。
そして、地域の方との関わりも多く、地域の教育ボランティアが授業に参加していることも本学の特徴です。教育ボランティアは、模擬患者役として学生の実践演習に協力したり、ゲストスピーカーとして自身の経験を話したり、家庭訪問の受け入れをしたりするなど、様々な形で授業に協力しています。また、国際的な視野を広げるため、希望者は、春休み中に海外看護学研修に参加することができます。
――大学を卒業後、就職の状況はどうなっていますか。
【植村さん】 資格の取得や卒業後の就職については、本学のカリキュラムを修了すると、看護師国家試験受験資格が得られます。また、保健師の受験資格取得を希望する学生には、定員30名の選択制で保健師教育課程を導入しています。試験結果は、どちらも全国平均より高い合格率となっています。
2021年度の学部卒業生97名のうち、85名が就職、9名が進学しました。就職者85名のうち、看護師が76名、保健師が9名となっていて、神戸市内には55名が就職しました。
卒業後は、神戸市立医療センター中央市民病院、西市民病院、西神戸医療センターといった神戸市民病院機構や、大学病院、民間病院など、さまざまな特色のある病院のほか、訪問看護ステーションなど看護師の職を活かした施設にも務めています。保健師としては神戸市などの自治体を中心に就職しています。さらに、知識を深めるため大学院へ進む人もいます。助産師を目指す場合は、本学では大学院博士前期課程で助産師を養成しています。
――神戸市看護大学としては、優秀な学生に集まってほしい、そして、卒業後は地域医療に携わってほしいという思いがあるなか、学生を支援するためにどんな取り組みを行っていますか。
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