鍋に牛乳!? 奈良県・明日香村のご当地料理『飛鳥鍋』 飲食店店主「修行僧の滋養回復料理が起源とも」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

鍋に牛乳!? 奈良県・明日香村のご当地料理『飛鳥鍋』 飲食店店主「修行僧の滋養回復料理が起源とも」

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 僧侶の間でひっそりと楽しまれていた料理が『飛鳥鍋』という名で広まったのは昭和30年代。ホテルのメニューとして考案されたのが始まりと言われています。

 現代になり飛鳥鍋と名付けられた、かつての料理はどのような変貌を遂げたのでしょうか。

「基本的にはダシ・スープに牛乳を合わせたベースに、鶏肉と季節のお野菜を入れます。飛鳥鍋には牛乳と鶏肉を加える以外、“これ!”と決まったセオリーはないので、各店や家庭でそれぞれの味付けが存在します。ダシは昆布や鰹・鶏がら、調味料は醤油・みりん・味噌、野菜はごぼう・白菜・キノコ・ネギなど、自由なレシピで食べられています」(西川さん)

 西川さんの作る飛鳥鍋はどんな内容か聞いてみたところ、

「当店の場合は、最初から牛乳は入れません。まずはひとり鍋に昆布と鰹のすき焼き風わりしたを入れ、野菜と鶏肉を煮込み召し上がっていただきます。途中でうどんを投入しそのタイミングで牛乳を加え、おろししょうがをちらします。味の変化を楽しむ『1度で2度おいしい』食べ方でご提供していますね」(西川さん)

『ひもろぎ』の飛鳥鍋は、最初は牛乳なし。鶏肉と野菜をまず食べ、途中でうどんを投入する(提供=ひもろぎ)
ある程度食べ進めたら牛乳を入れるのが『ひもろぎ』流。あっさり味がまろやかな味わいに変化(提供=ひもろぎ)

 西川さんいわく、明日香村であっても時代によって飛鳥鍋の知名度は異なると言います。

「33年前、隣の橿原市から明日香村に引っ越してきたのですが、当時小学生だった娘が、転校先の給食で飛鳥鍋をはじめて食べ、とても驚いたと言っていました。“牛乳煮”のような汁物で『なんだか不思議な食べ物だな』と感じたのだとか。後日、娘が友人に尋ねたところ『家では食べない』との答えが返ってきたそうで、当時は明日香村であっても飛鳥鍋を家庭で食べる文化は広まっていなかったみたいです」(西川さん)

 いまでは村にある販売所に「飛鳥鍋のもと」が並び、村やその周辺の飲食店・民宿でも、それぞれのオリジナル色を感じる飛鳥鍋を食べることができます。つまり飛鳥鍋は昔から存在していたものの、広がりをみせつつあるのはここ最近の話だということがわかりました。さらに、近ごろは奈良県全域で飛鳥鍋を提供するお店が増えているようです。

☆☆☆☆

 牛乳と鶏肉さえあれば、特別な素材は必要なく作れる飛鳥鍋。この冬、チャレンジしてみてもいいかもしれませんね。

(取材・文=つちだ四郎)

◆暮らしの道具+茶屋 ひもろぎ
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