食料品や日用品、雑貨に衣料品など、生活に必要なアイテムを1か所で購入できる便利なスーパーマーケット。都道府県ごとに「ローカルスーパー」があるのをご存知でしょうか?
滋賀県民にとってのローカルスーパーといえば『平和堂』。ハトがトレードマークのこちらは「デート場所」「イメージソングの『かけっこ とびっこ』が歌える」「財布には必ずポイントカードが入っている」など、滋賀県民が「あるある!」とうなずいてしまうほど、地域住民の生活に根付いています。
現在では滋賀県のみならず、隣県の京都府をはじめとし、近畿や北陸、東海、さらには海外店舗として中国にも店舗を広げているという『平和堂』(本社:滋賀県彦根市)に、65年に及ぶ歴史とトレードマークの“ハト”に隠された秘密を聞きました!
まずは印象に残りやすい社名の由来について聞くと、
「創業者である夏原平次郎の“平和に対する願い”が由来です。大正生まれで戦争を経験した平次郎は、自身の体験から『自分たちの子どもが過ごす時代は、平和な世の中になってほしい』と願い、長男に『平和(ひらかず)』と名付けたのです。そして、商売を始めた際にも迷わず『平和堂』と名付けました」(担当者)
平次郎の平和への思いは、ロゴとして「平和の象徴=ハト」を使用していることにも表れています。現在のロゴは2羽のハトが並んでいますが、創業当時は1羽だけだったそう。
「ハトが2羽になったのは、1974年から。『会社と社員』『会社とお客様』『会社と地域』と、それぞれ立場が異なる2者を表しています。ハトを並べることで『調和ばかりでは沈滞し進歩がなく、対立しながら調和するところに進歩がある』ということを意図しています」(担当者)
平和を重んじた平次郎が「平和堂」を立ち上げたのは1957年のことでした。
「当時は、靴とカバンのみを取り扱っていましたが、その後衣食住に関する買い物を1か所で済ませられる『ワンストップショッピング』のできる店舗を目指し、日用雑貨など取扱い品目を拡大していきました」(担当者)
今でこそ平和堂に行けばさまざまなものが手に入りますが、創業当時は靴・カバンを扱う店舗でした。品目を拡大するにあたり、食品の取り扱いも検討したものの、当時の小売業界で食品は利益幅が薄かったこともあり、敬遠されていたそうです。
「平次郎は、平和堂の更なる成長に食品の取り扱いを欠かすことはできないと考え食品売場の開設を決めます。当時、食品を扱う場合はテナントを入れるのが主流でしたが、平次郎のモットーが『品質保証』だったこと、さらに当時師事していたチェーンストアの専門家から『食品は直営で運営すべき』という教えがあったことから、1966年に直営の食品売り場を開設します」(担当者)