昭和40年代から多くの子どもたちに愛される「ミルメーク」。「コーヒー味」「ココア味」「いちご味」などのフレーバーがあり、給食の時間に牛乳に混ぜて飲んだ方も多いのではないでしょうか。ミルメークの開発に至った経緯や現在についてなど、販売元である大島食品工業株式会社で営業部部長を務める原谷さんに話を聞きました。
――開発のきっかけは?
【原谷さん】 弊社はもともと、大島製薬所という社名で粉薬製造を行っていました。昭和29年に、以前までの粉薬の技術を使いつつ、「粉」をメインとした食品関連事業を扱う大島食品工業株式会社を設立しました。
昭和30年代の終わりから40年代のはじめごろ、学校給食で提供されていた脱脂粉乳が瓶牛乳に変わるとのことで、「以前よりもカルシウムの摂取量が減ってしまう」という問題が浮上しました。
そこで、学校給食の物資を扱う栃木県の学校給食会から「牛乳を飲むより多くのカルシウムを摂取できるようなアイデアはないか」と相談を受けたことがきっかけです。その後、子どもたちによりおいしくカルシウムを摂取してもらえるように開発を続け、昭和42年にミルメークを発売しました。
――粉末で味をつけるというアイデアはどこから生まれましたか?
【原谷さん】 当時、日本では牛乳調味品というものはあまり普及していませんでした。粉のカルシウムを溶かして牛乳に混ぜたりしてみたのですが、味がおいしくなく、試行錯誤を繰り返しました。
開発を進めるなか、ある日、銭湯を訪れた1人の開発者が子どもの買ってきたコーヒー牛乳を目にし、「牛乳に粉のコーヒーと砂糖を混ぜるといいのでは?」とひらめいたそうです。