沿線には観光スポットがあるわけでもなく、工場従業員の通勤や通学の足として、またコンビナートからの貨物輸送として地域に根付く臨海鉄道。しかし線路の終端にある広大な「倉敷貨物ターミナル」には鉄道ファンをひきつける秘密が隠されていました。ここには水島臨海鉄道保有の昭和のなつかし列車がたくさん留置されているのです。
大都市近郊輸送に活躍した国鉄色のキハ30をはじめ、ブルーの水島臨海色のキハ37と赤に再塗装されたキハ37、八高線色になったキハ38、そしてディーゼル機関車DD50形501がずらりと並んでいました。さらにそれら古参に交じって水島臨海オリジナルのMRT300形の姿を見ることもできます。
そして昨年は、ある車両が大きな話題を集めました。2014年に水島臨海鉄道からいったん引退した昭和の名車・キハ205が、昨年3月に見事に復活したのです。資金難の中、クラウドファンディングを実施し、なんとわずか7日間で2400万円(当初目標1300万円を大きく上回る額)を集めたのです。外装はもちろん、車内の座席や灰皿に栓抜き、JNRマーク入りの扇風機も昔のままに再現されました。
今やこれらの昭和の名車をつなげた夢の編成企画ツアーも大人気。昭和の名車の数々や長大な貨物列車に出会え、コンビナートの規模に驚き、工場夜景も絶景。特段、沿線に観光名所があるわけでもないのに、なぜか無性に乗って見たくなるのが、この水島臨海鉄道なんです。
旧国鉄と連携して貨物輸送を担うために誕生した臨海鉄道。現在、東海・関東・東北には計8社が存在しますが、西日本ではこの水島臨海鉄道だけという貴重な存在。倉敷観光の1つとしてぜひ一度乗車してみてください。(羽川英樹)
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