兵庫県姫路市は、身近なところから循環型社会の形成に向けた活動を啓発しようと、市内約1000か所の公園を起点として新しいプロジェクトを進めている。従来は焼却処分していた公園内樹木の間伐材を薪(まき)やDIY資材などとして市民に再利用してもらおうという取り組みだ。
間伐材で作った薪は形が不ぞろいで乾燥が不十分なため、価格を一カゴ1000円(約20キロ分)と安価に設定。スウェーデントーチや薪割台といった市職員手作りのキャンプ用品も並べ、市北西部の桜山公園駐車場(同市太市中)などで市民向け販売会を2021年から始めた。
昨今のアウトドアブームも手伝って多くの買い手が集まっているようで、パークマネジメントを担当する市公園緑地課の藤谷一郎さんは「あつかう量はまだ少ないが、公園から生まれた財源で公園をさらに良くしていくという好循環の芽が育ちつつある」と手ごたえを感じている。今年は1回目を1月21日に開き、次回は3月18日を予定している。
樹木と同様に、これまで焼却処分していた落ち葉を肥料に変える取り組みも開始。一部の公園にコンポスター(微生物の働きで植物のくずを肥料にする容器)を設置し、できた肥料を公園内の花壇で活用している。
また、桜山公園隣の「自然観察の森」では、周辺に密集する竹林に目をつけた体験イベントも。たとえば、間伐して油抜き処理した竹に電動ドリルを使って多彩なデザインを施し、竹あかりを作るという工作教室がある。中の空洞部分にLEDライトを組み込めば温かみのあるオリジナル木工品が作れるとあって、毎回多くの市民が参加するという。
「SDGsというと堅苦しく聞こえるけれど、身近な公園での取り組みが市民に関心を持ってもらうきっかけになれば」と藤谷さんは話す。
問い合わせは、間伐材については姫路市 公園緑地課(電話079-221-2412)、竹あかり工作教室については自然観察の森(電話079-269-1260)
(取材・文=播磨時報社)