尼崎市での暴力団事務所をめぐっては、公益財団法人・暴力団追放兵庫県民センターが2021~2022年、暴力団対策法の代理訴訟制度に基づき、近隣住民から委託を受け市内3か所の暴力団事務所の使用を禁じる仮処分を申請して認められ、各事務所の建物は民間に売却され解体された。このほか2021年6月には、全国の自治体で初めての取り組みとして、六代目山口組系幹部宅を買収した。そして2022年9月、六代目山口組系傘下組織の事務所が閉鎖された。
推進協議会の男性は、「公安委員会の認定がなければ、組事務所として認めない現在の法体系にもどかしさを感じる。関連施設も含めて排除することが本当の意味で住民の安全・安心につながる」と話し、時代に沿った、次のステージへ移行する必要性を訴える。垣添弁護士は「(約10年前に全国の自治体で誕生した)暴力団排除条例は、単発的で、地域の特徴を考慮することなく制定・施行された側面があった。その後、時代も変化し、住民のニーズも多様になっている。先駆的に運動を進めてきた尼崎市だからこそ、今、条例のあり方を総括的に検討することが、全国でのモデルケースになる」と力を込めた。