1980年代、商業捕鯨撤退などの影響により国内での流通が減少し食卓から消えてしまったクジラ肉。古くから多くの人達に親しまれていたこともあり、家庭や給食などで食べていたという方も多いのではないでしょうか。
今ではほとんど見かけることがなくなったクジラ肉ですが、大阪市内には現在も販売しているお店があります。今回は、大阪市中央卸売市場の株式会社高浜商店で代表取取締役を務める高浜康子さんに話を聞きました。

――いつから取り扱っていますか?
【高浜さん】 戦後、徳島から大阪に出てきた祖父が個人商店をはじめ、その後、昭和40年に株式会社高浜商店を創業しました。現在では、クジラを扱って80年近くになります。

――当時の売れ行きは?
【高浜さん】 戦後から1980年代くらいまでは、現在とは比べものにならないほど売れていたと聞いています。当時は20~30キロのケースを大量に売っており、価格も1キロで300~500円とかなり低価格でした。牛や豚よりも安かったこともあって、家庭ではクジラの方が食べられていたそうです。
現在は1キロで約4000円、安くても1500円と、当時と比べると何倍もの価格になっているため、お客様のご要望に応じてばら売りでの販売形態を取っています。これは、昔では考えられないような販売方法だそうです。
昔は、海が荒れてしまって市場に魚が届かないときには、魚の代わりにクジラを販売するという形で店を開けていました。クジラは庶民にとって身近な食べ物だったので、魚がない日にはクジラが売れる、という傾向がありました。
――日本人にとってどんな食材だった?