本来であれば大人が担うと想定される家事や家族のケアを日常的に行っているために、学校生活に支障が出るなどの問題を抱えている「ヤングケアラー」。近年、そんな若者たちのための支援が全国的に注目を集めている。神戸市では相談窓口の設置や、必要に応じて食事や清掃の支援を行うヘルパー派遣に取り組んでいる。
ヤングケアラーは、障がいや病気を持つ家族、幼いきょうだいなどケアを必要とする人がいるために、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている若者とされる。神戸市では、18歳未満の子どもだけでなく、20代も施策の対象に含めていることから、市民に伝わりやすい名称として「こども・若者ケアラー」と呼んでいる。
「こども・若者ケアラー」のなかには、障がいや病気を持つ家族に代わり、買い物や料理・掃除などの家事を行ったり、幼いきょうだいや、障がい、病気、認知症などにより見守りが必要な家族の世話をしている人もいる。家計を支えるために働き、家族を助けているというケースも。
一見、家事をすることは問題がないようにも思われる。しかし、日常的に家族のケアを行うことで、子どもとして守られるべき権利である、学校やクラブ活動、友達との時間が侵害される可能性だけでなく、体調を崩したり、誰にも相談できずに抱え込んでしまうなど、生活に問題が生じることも。朝起きることができず学校に遅れることや、授業に集中できないというのも問題だ。
勉強がうまくいかないこと、友人関係をうまく築けないことが、進学・就職などの将来に影響することもある。さらに、20代のこども・若者ケアラーに関しては、仕事と介護を両立することの難しさや、結婚・子育てといった自身のライフステージの変化への影響が問題となっている。
こうした「こども・若者ケアラー」とされる可能性のある人は、小学生から大学生のなかの4~6パーセントにものぼるといわれている。この数字は17〜20人に1人が該当することを意味し、学校のクラスに1人はこの問題を抱えている可能性があることになる。
神戸市では、2021年6月1日に「こども・若者ケアラー 相談・支援窓口」を神戸市総合福祉センター1階に開設。昨年12月までのおよそ1年半の間に283件の相談があり、それぞれの支援に繋げているという。
周囲の人間や関係者の問い合わせから支援に繋がるケースも多い。なかには、介護保険サービスや障害福祉サービスが利用できることを知らなかったり、手続き方法がわからなかったという人もおり、窓口では公的サービスの活用に向けた調整も行っている。相談内容はさまざまで、家族との家事のバランスを相談するケースも。ほかに、学校との連携を図る取り組みも行っている。
また、神戸市青少年会館(同市中央区)などで、こども・若者ケアラー同士が気軽に集って交流・情報交換ができる『ふぅのひろば』を定期的に開催している。
◇「神戸市 こども・若者ケアラーへの相談・支援」について
【こども・若者ケアラーへの相談・支援】
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