みなさんは牛肉の部位をどれくらい知っていますか? スーパーや精肉店ではラベルに「バラ」や「ロース」などと明記されていますが、農林水産省が定めた『食肉小売品質基準』によると、牛の部位は前出の部位を含め、サーロイン、ヒレなど全11部位に分けられているそうです。
それでは、焼肉の定番中の定番「カルビ」はどうなのか……とふと思った筆者は、さっそく『全国焼肉協会』に取材してみました。すると協会からは意外な回答が。
「よく聞いたり目にする名称ですが、実はカルビは特定の部位ではありません。国が定めた11部位の中にカルビは表記されていません」(全国焼肉協会)
なんと「カルビ」は部位名ではないことが判明しました。では、いったいカルビとは何なのでしょうか?
「端的に言うと、カルビは“メニュー名”。スーパーや精肉店と違い、焼肉店では11部位の表示義務はないため、メニューとしてその名称が存在しているのです」(全国焼肉協会)
部位として定められていないとはいえ、どのあたりの部分の肉をカルビと定義しているのか気になるところ。協会いわく、「日本ではおもに牛バラ肉のことをカルビと呼びますが、どこの肉だという明確な定義は無いといえます。また、日本における焼肉の歴史として『庶民が安く焼肉を楽しめる部分』がアバラ骨周りの肉で、骨の付いた肉がカルビとして親しまれるようになった経緯も。ここから広く、脂の多い部位をカルビと呼ぶようになった」とのこと。ちなみにカルビの語源を調べたところ、韓国語で肋骨やその周囲の肉を意味する『kalbi』に由来するそうです。
協会によると「ロース」もかつてはこのような曖昧な定義で“脂の少ない赤身肉”を指してメニューに出されてきた歴史があったとのことですが、これについては状況が大きく変化したといいます。
「ロースに関しては国から厳しい指導が入りました。ロースは本来、肩ロースやリブロースなど背肉のことを指しますがモモやランプなども“ロース”として提供する焼肉店がありました。これは古くからある焼肉業界の慣習だったのです。これに対し消費者庁は表示改善要請を出し、現在では焼肉店であってもロースに関しての表記はシビアにチェックされています」(全国焼肉協会)