「ザブトン」や「イチボ」「トンビ」など、昔は目にすることのなかった部位を近ごろよく見かけるようになった背景も、この“ロース表記”に深く関係しているといいます。
「焼肉店は消費者庁の指導に従い、“ロース=赤身”という大まかなメニュー表記ではなく、詳細な部位名称で提供する方向に舵を切りました。というのも、ロースに赤身肉を期待している客の間で『これはロースではない』などといった声や混乱が発生したことによります。そのため今までのような“曖昧な意味合い”でのロース表記はやめ、部位を細分化し別のメニュー名で提供しよう……となったのです」(全国焼肉協会)
“部位細分化”について、協会はほかにも「消費者の肉に対する知識が幅広く豊富になり、正確な部位にこだわる人が増えたから」と回答しています。
最後に、筆者が長年気になっていることを聞きました。それは、上カルビや上ロースなどに見る“上”の文字。上が付くと、通常のものより価格もさることながら味にも違いがあるという印象を抱きますが、表記的なルールはあるのでしょうか?
「上や特上・特選などのメニュー名は焼肉店独自のルールであり、特に決まりがあるわけではありません。国産牛を“上”としたり、同じ部位でもより上質だと店が判断すれば“特選”として提供するなどしていますね」(全国焼肉協会)
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今回の取材で「カルビ」はメニュー名であること、“バラ部分あたり”というくらいで明確な部位定義が無いということがわかりました。それでもどうしても気になる……という人は「このカルビはどこの部位ですか?」と焼肉店で確認するのはアリかも。また店舗によって使用部分も微妙に違うそうなので、いろいろ巡って自分好みの「カルビ探し」をするのもおもしろいですね!
(取材・文=宮田智也 / 放送作家)