夜空に星が輝くように、多くのろうそくが灯され、世界平和や国家安穏を祈願する「星供(ほしく)」が28日、京都・三千院門跡(京都市左京区大原)で執り行われた。
三千院は、比叡山延暦寺を頂点とする天台宗寺院で格式高い「京都五ケ室門跡」の1つ。新型コロナウイルス感染防止のため、 2020~22年と3年連続で参拝者は参列せず、僧侶のみで行われていたが、今年(2023年)は感染対策を施して4年ぶりに公開された。(※記事中の写真は、特別に許可を得て撮影しています)
「星供」は星祭とも呼ばれ、人が持って生まれた運命の星を供養することによって、一年間の除災厄除と開運を祈る密教の法要。
密教では、生まれた年の干支によって定まる星を「本命星(ほんめいしょう)」と呼び、北斗七星を構成する7つの星を指す。 また毎年変わる「当年星(とうねんしょう)」と呼ばれる9つの星もあり、それぞれ吉凶があるとされる。 そこで、良い星の年はより良く、悪い星の年は災いが少なくなるよう祈祷する。
法要は、御所の紫宸殿(ししんでん)を模した三千院の宸殿(しんでん)で執り行われた。
この日は、「星曼荼羅(ほしまんだら)」の掛け軸を本尊として中心に祀り、日天、月天など方角を守護する「十二天」の掛け軸を掲げ、灯りを星に見立てるため、堂内の照明をすべて落とし、扉を閉じて真っ暗にすると、ほのかなろうそくの灯りが浮かび、静粛な空気に包まれた。
三千院の小堀光實(こぼり・こうじつ)門主は、「人は誰もが、数々の星に守られている。その星に導かれて生きている。星供はその星に安寧を祈る“秘密のお勤め”。それぞれの星の動きが良いめぐりとなるように」と話し、新型コロナウイルスの早期収束、トルコ・シリア地震被災地の復興、戦禍にあえぐウクライナとロシアの即時停戦を祈願した。
兵庫県西宮市の30代の女性は「ろうそくの灯りが、夜空の“北斗七星”のように見えてうっとりしました。コロナ感染者が少しづつ減ってはいますが、国内外で災害や戦争、混沌としています。家族の健康と、世界中が笑顔でいられるよう祈りました」と話した。