◆鉄アナ・羽川英樹「行ってきました!」
大阪南部の貝塚市内を走る水間鉄道は、南海本線と接続する「貝塚」と「水間観音」を結ぶ5.5キロメートルの郊外電車。水間観音への参拝客輸送と、貝塚内陸部の通勤通学の足を支えています。全線開通は1926(大正15)年で、まもなく開業100周年を迎えるという歴史ある鉄道会社です。しかし、近年は鉄道利用客の減少やバブル期の不動産投資の失敗などもあり、2006(平成18)年からは、なんとあの外食チェーンの「グルメ杵屋」が経営しています。創業者が戦時中、貝塚に疎開した体験から、その恩返しも兼ねて経営を担うことになったようです。
人口約8万2千人の貝塚市は、もともと願泉寺の寺内町として栄え、二色の浜海水浴場でも有名な街。かつては女子バレーボールの「日紡貝塚」で全国にその名をはせました。また「つげ櫛」の生産も日本一で、市のキャラクターも「つげさん」。そして別寅かまぼこの本社もここ貝塚にあるんです。
水間鉄道での車両はすべて旧東急電鉄のものを改造した1000系が使用されています。運転席や車内のロングシート・扇風機にもその名残が見てとれます。地元では「すいてつ」と呼ばれ、日中は30分間隔の運転です。
「近義の里(こぎのさと)」を出ると横切る阪和線をくぐりますが、お互い接続するような駅は残念ながら見当たりません。
途中駅で最も利用客が多いのが「清児(せちご)」。駅の西側には大規模なマンション群が、そして東側には昔ながらの路地と民家が並ぶという好対照な風景が広がります。
かつてこの清児から犬鳴山を越えて、和歌山の粉河までの路線が計画されましたが、実現には至りませんでした。
終点「水間観音」まで16分で到着。ここには2018(平成30)年からホームに多くの苔玉がぶら下がっており『苔玉の駅』として売り出しています。水だけで生き続ける生命力ってすごいですよね。
そして、この駅の1番線の横にある「待合室」が大人気なんです。なんと水間鉄道は昨年、YouTubeドラマ『アワーホーム』(水間鉄道ドラマ制作委員会)を作ってしまいました。駅カフェのマスターを松平健さんが演じ、地元ボランティアも参加して、1話15分、6話の構成に。この待合室はドラマのメインの舞台となった場所で、撮影風景の写真も数多く展示されています。制作費はクラウドファンディングなどで捻出。なんと1130万円が集まり、返礼品には運転体験や車内放送体験を始め、せりふ付きドラマ出演権もあったといいます。
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