■「変化の行き着く先、私たちが真に目指しているものなのか」水尾寂芳・延暦寺執行
延暦寺の水尾寂芳執行(しぎょう)は、ラジオ関西の取材に対し、比叡山の魅力について、「おのずから住めば持戒のこの山は、まことなるかな依身より依所」という最澄の言葉を用いて説いた。
これは、「修行には自分自身が正しくあろうとする心が大切だが、それよりも修行をする環境がもっと重要である。この比叡山は、真にその修行にふさわしい」という意味で、山の偉大な力を表現している。
水尾執行は続けて、「IT社会の構築やデジタル化による生活スタイルの変化は、コロナ禍で一層加速されたが、この変化の行き着く先が本当に私たちが目指している場所なのか、答えは出ていない。これからの時代、最澄が示した変わることのない教えを信じて、比叡山上から不安を抱える人々の心の救済に努めたい」と話した。
■次世代に伝えるもの
この大法会を通じて、「伝教大師最澄1200年魅力交流委員会」が結成された。委員長には鳥井信吾氏(サントリーホールディングス・代表取締役副会長)、委員には池坊専好氏(華道家元池坊 次期家元)、千宗屋氏(武者小路千家15代家元後嗣)など経済界、文化人、自治体の協力を仰いだ。
次の世代を担う大学生とのコラボレーションを通して、日本文化への理解を深めるため、ともに語らうことで魅力を伝承する「魅力交流」に取り組んできた。
コミュニケーションサイト『いろり』(https://1200irori.jp)は、その取り組みの発信ツールとなっている。