近ごろ個性的でおいしそうな冷凍食品の自動販売機を見かけることがありませんか? その理由のひとつはコロナの影響。外食のメニューを「家ごはん」でも楽しみたいという人が多くなったのが関係しているそうです。
冷凍食品の魅力はフライパンや電子レンジでさっと温めるだけで食べられるところ。そこで筆者は阪急塚口駅前の塚口商店街設置された『松葉寿司』(兵庫県尼崎市)の自販機が注目を集めているとの噂を聞きつけ、代表取締役・岡本博幸さんと専務取締役・岡本剛志さんに詳しく話を聞いてきました。
人気はアナゴめしやカマの塩焼き、巻きずし、箱ずし、かす汁などだそう。自販機ではめずらしいメニューのラインナップで、いずれも千円以内で購入できるのが嬉しいポイントです!
同店は1938年創業の老舗すし店。コロナ禍にあっても「おいしいものを食べてもらいたい」という思いから、新ブランド『Matsuba Chisou(松葉馳走)』を2022年の夏に立ち上げ、店の料理を冷凍し自販機で販売することに。
――「Matsuba Chisou(松葉馳走)」を立ち上げたきっかけを教えてください
きっかけは6年前。「プロトン凍結機」を導入し、冷凍すしなどを試作してみたところ味の劣化がなかったので『Matsuba Chisou』というセカンドラインを立ち上げ販売しようということになりました。コンセプトは“おうちごはんを、おみせごはんに”です。
――老舗店が冷食を販売することに抵抗や不安などはありませんでしたか?
「冷凍食品=おいしくない」というイメージを持つ方も多く、反対もありました。『老舗・松葉寿司』というブランドを壊すことになるのでは……という不安を抱いたりも。ただ、完成した冷食を食べた料理長が、首を縦に振ってくれた。それを見て「これはいける!」と直感しましたね。
――冷食販売までの道のりのなかで苦労したことは?
冷凍に向いている食材・不向きな食材、解凍時の味の変化などの見極めに苦労しました。トライアンドエラーを繰り返し、気づけば1年ほど時間をついやしていました。