暴力、嫌がらせ、特殊詐欺…暴力団に対する「ミンボー弁護士」とは? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

暴力、嫌がらせ、特殊詐欺…暴力団に対する「ミンボー弁護士」とは?

LINEで送る

この記事の写真を見る(1枚)

「民事介入暴力」いわゆる民暴(ミンボー)とは、暴力団などが一般市民の日常生活に介入して不法な利益を獲得しようとする行為を指します。各地の弁護士会には「民事介入暴力対策委員会」が設置されており、暴力や恐怖の力によって不当な利益を得ようとする団体を相手に活動を行っています。

 世の中に存在する理不尽な行いをなくすために活動している、兵庫県弁護士会の民事介入暴力対策委員会委員長・菊井公策弁護士に話を聞きました。

――民事介入暴力対策委員会、いわゆる民暴委員会とはどのような委員会なのでしょうか。

【菊井弁護士】 弁護士会の常設委員会なので、毎月1度委員会を開いて議論をしています。実際に暴力団から被害を受けている方がいる場合には、その方の支援や暴力団事務所の使用差止(しようさしとめ)、撤去に向けた活動を行っています。私たちはおもに、刑事事件になりづらく警察が手を出すことのできないような経済的被害を受けている一般市民の方を支援しています。ほかに、暴力団離脱者の社会復帰支援活動を行うこともあります。

――これまでに多くの民暴事件に取り組んでこられたそうですが、印象に残った事件や裁判はありますか。

【菊井弁護士】 10年ほど前に担当した、暴力団組長に対する損害賠償請求事件は印象に残っています。被害者はタクシーや代行運転を行っている会社でした。あるとき、暴力団関係者から「若手の暴力団員を従業員として雇ってほしい」という依頼があったそうなのですが、依頼を断って以来いやがらせを受けるようになりました。

 たとえば、タクシーや代行が呼ばれたにもかかわらず誰もいなかったり、長時間待たされたり……。ほかにも、頼んでもいない宅配が被害者事務所に届くなどのいやがらせが続きました。最終的にはダンプカーが事務所に突っ込み、従業員にケガをさせるという刑事事件にも発展しました。

 事務所の改修代に加え、事件後の風評被害による利用客の激減などの被害を受けたため、暴対法に基づいて6代目山口組のトップを相手に損害賠償を請求する訴訟を起こし、最終的に和解で解決しました。

ーー組合員が起こした事件の場合にも組長を相手に請求できるのですか?

【菊井弁護士】 民事の損害賠償問題に関しては、たとえ組員が起こした問題であっても暴力団としての資金獲得活動の一環として認められれば、トップが具体的な指示を出していなくとも法律上は損害賠償請求の相手方になるという建て付けになっています。

 一方で、刑事事件となると具体的な指示がなければ処罰はされません。しかし、例外もあります。最近でいうと北九州の工藤会の事件では、組員が一般人を殺害したいくつかの凶悪殺人事件において工藤会トップが関与した明確な証拠はなかったものの、組員が無断かつ単独で事件を起こすとは到底考えがたいということで重い判決に踏みきったという事案もありました。

――暴力団離脱者の社会復帰支援活動もされているということですが、どのような活動なのでしょうか。

LINEで送る

関連記事