【菊井弁護士】 なかなか暴力団から抜けられない、という方は一定数います。まずは警察に駆けこんで来る人が多いため、警察支援のもと、抜けてきた暴力団が手を出さないよう警察が暴力団に対して指導を行います。その後、警察を中心とした離脱支援事業によって賛助事業主を募り、暴力団離脱者の再就職を支援しています。ここまではおもに警察が動くので、弁護士は直接関わっているわけではありません。
しかし、現在は暴力団に対する取り締まりも厳しく、暴力団離脱後5年間は携帯電話の契約や口座開設ができないようになっています。とはいえ、日常生活を送るうえで不便なことも非常に多いので、警察関与のもと、しっかり社会復帰をしている離脱者が口座開設できるように金融機関に求めていく活動を行うことがあります。
――暴力団を相手にした事案となると、通常より気をつけなければならないのでしょうか。
【菊井弁護士】 暴力団に限ったことではないですが、弁護士の仕事をしていると報復を受ける可能性はあります。そのため、セキュリティはほかの事務所よりも厳重にしています。防犯カメラをたくさん設置したり、常時施錠することで簡単には入って来られないようになっていますね。また、事件処理の際は警察と連携して行うことで、万が一なにかが起きた場合には警察がすぐに駆けつけてくれるような体制になっています。
――先生が今までに危険な目にあったことはないですか。
【菊井弁護士】 私自身はありません。しかし、過去には危険な目にあった弁護士も実際にいます。
――万が一、暴力団とトラブルが起きてしまった場合にはどうすればよいのでしょうか。
【菊井弁護士】 自分でどうにかしようと思わず、まずは警察に相談してください。
◆菊井公策(きくいこうさく)弁護士 菊井法律事務所(姫路市)
上智大学法学部法律学科を卒業し、2005年に弁護士登録。企業法務のほか、暴力団をはじめとする、反社会的勢力の民事介入暴力に力を入れている。2018年には兵庫県弁護士会の副会長を務め、現在は民事介入暴力対策委員会の委員長を務める。