知っていますか? ラジオの「AM・FM」の違い AM放送がなくなるって本当!? 専門家が解説 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

知っていますか? ラジオの「AM・FM」の違い AM放送がなくなるって本当!? 専門家が解説

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 スマホやパソコンでラジオを気軽に聴けるサービスやアプリが登場したことにより、若いリスナーも増加しているラジオ。でも、普段何気なく選んでいるラジオのAMとFMの違い、あなたは説明できますか?

 そこで今回は、企画から出演まですべてラジオの技術スタッフが担当しているラジオ番組『おしえてサウンドエンジニア』(ラジオ関西)に取材。「AMとFMの違い」について詳しく話を聞きました。

最近では、スマホでラジオを楽しむ人も増えた
スマホで楽しむ人も増えたラジオ

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――早速ですが「AM」と「FM」の違いは何でしょう?

【『おしえてサウンドエンジニア』(以下、サウンドエンジニア)】 そもそも、ラジオ放送の仕組みをみなさんはご存知でしょうか?ラジオ放送では音楽やトークなどの音声を電気信号に変え、電波に乗せてアンテナから発射することで、遠く離れた場所に音声を届けています。

 音声を電気信号に変えて電波に乗せることを「変調」と言い、「AM」と「FM」ではこの変調の方法が異なります。

 AMは「amplitude modulation(振幅変調)」の略で、電波の「振幅」を変化させて情報を伝送します。一方のFMは「frequency modulation(周波数変調)」の略で、電波の「周波数」を変化させて情報を伝送します。

――振幅と周波数ですか? わかるような、わからないような……。AM放送、FM放送、それぞれの放送の特徴や違いはあるのでしょうか?

【サウンドエンジニア】 AM放送、FM放送、それぞれに長所・短所があります。

■「遠くまで届くが、雑音の影響を受けやすい『AM放送』」
 AM放送の一番の特長は、遠くまで電波が届くことです。電波の届く範囲は数十〜数百キロメートル、夜間は数千キロメートル先までと広範囲に渡って音声を届けることが可能で、遠く離れた海外の放送を聴くこともできますよ。また、「鉱石ラジオ」のような電気を使用しない単純な仕組みでも受信することができます。

 地表に沿って電波が伝わるため、川辺などの低地にアンテナが建てられるこ
とが多く、アンテナに⾼さが必要で、広⼤な敷地も必要となります。

 弱点としては、電気雑音や混信の影響を受けやすく雑音が入りやすいことが挙げられます。

ラジオ関西の送信所とアンテナ(兵庫県淡路市)
淡路島に建つ、ラジオ関西の送信所とアンテナ(撮影:ラジオ関西)

■「クリアな音質だが、電波の届く範囲が狭い『FM放送』」
 FM放送は、AM放送と⽐べると電波の届く範囲が数⼗〜百キロメートル程度と狭いのですが、雑⾳の影響を受けにくいクリアな⾳質で聴取できます。希望の放送の電波が強いと
きは、ビルなどの建物の中などでもAM放送とくらべて受信しやすいのが特徴です。

 直接伝わる「直接波」と大地に反射する「反射波」で電波が伝わり、AM放送のアンテナと比べると小型なアンテナで発信できるのも特徴です。山の上や、東京タワー、スカイツリーなどの鉄塔にアンテナを設けることが多いです。

 意外なところでは、実はカーナビサービスにもFM放送が利用されています。道路渋滞情報などを伝える「VICS FM多重サービス」は皆さんも利用されたことがあるのでは?

――そういえば放送内容も、AM放送ではニュースやバラエティなどのトークの割合が多く、FM放送では最新ヒットチャートなどの音楽を主に扱う局が多いように感じます。番組構成の傾向の違いにも何か理由があるのでしょうか?

【サウンドエンジニア】 AM放送とFM放送では、放送できる音の範囲に違いがあります。

(放送できる音の範囲)
AM放送 100〜7,500ヘルツ(多くの放送局がモノラル放送)
FM放送 50〜15,000ヘルツ(ステレオ放送)
※⼈の声の周波数は100〜1,000ヘルツ程度、⾳楽CDは20,000ヘルツまでの⾳声を再⽣可能。

 FM放送は、AM放送と比べて放送できる音の範囲が広く、ステレオで高音質なのでAM放送よりも音楽に向いています。そのため、AMはトーク、FMは音楽という番組構成が定着しました。

 とはいえ、最近では少しずつ様子が変わってきています。

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