この日は、袋入りスナック菓子のパッケージや、ペットボトルのキャップなど大和川に捨てられていたプラスチック廃材や、近隣住民が集めた廃材を縫い合わせて、大阪モード学園(大阪市北区)の学生69人が制作した「SDGsドレス」17着のほか、500人の子どもの笑顔をプリントした直径10メートルの「笑顔ドレス」を披露した。
イベントの仕掛け人は、世界各国の紛争地や被災地など35か国で撮影した5万人以上の子どもたちの笑顔をプリントした傘をアートとして表現する「MERRY PROJECT (メリー・プロジェクト)」 を展開するアートディレクター・水谷孝次さん(東京都港区)。
プロジェクトは1999年にスタートし、これまでに世界各国の紛争地や被災地など35か国で撮影、2022年は北京オリンピック開会式の演出で、これらの「笑顔の傘」が披露された。
「MERRY PROJECT」は、大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」を実現し、SDGs達成のため、さまざまな参加者が主体となる『TEAM EXPO 2025』プログラムの共創チャレンジとして参画。2023年4月までに共創チャレンジの登録は1000件を越えた。
■地球そのものをデザインする 今こそ打ち出したいアートの力~水谷孝次さん
水谷さんは1980~90年代、大手航空会社やファッション、食品メーカーのヒット商品の広告ポスターやパッケージ、 プロ野球チームのロゴマークなどのデザインを手がけ、日本の広告界になくてはならない存在だった。その経験を今、世界が正面から向き合わねばならないSDGs(持続可能な開発目標)に向けている。
水谷さんは「地球そのものをデザインする時代。中でも笑顔は最高のモチーフだ」と話す。そして「万博への機運も、SDGsへの取り組みも、”地道にコツコツ”進める」というテーマを持っている。
そして、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックで委縮しがちだった日常で、単なるお祭り騒ぎではなく、アートディレクターらしくデザインの力で「ワクワクするような世界」を創りたいと話す。
水の都・大阪で、水辺の環境が整備されていなければ、せっかく万博を開催しても海外から訪れた人たちがガッカリする。神戸にも港を中心に発展したウォーターフロントがあるが、にぎわいという点ではまだ足りない。阪神・淡路大震災以来、節目に訪れる神戸で、このプロジェクトを展開した水谷さんはそう感じている。「街じゅうが万博のようなパビリオンになれば、もっと関西は魅力的になる」というのが持論だ。
【MERRY PROJECT 公式ウェブサイト】
【2025年大阪・関西万博 公式ウェブサイト】
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