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■車いすからの目線、これを強みに~牧野美保さん
ファッションショーの司会は、関西在住で、自らを「車いす女子」と名乗り、SNSで情報を発信する車いすコミニケーションデザイナーの牧野美保さん。5歳の時に自宅で転倒し、原因不明の横断性脊髄炎により車いす生活が30年続く。”どんな人でも夢を叶えられる社会”をつくることを心に誓う牧野さんは、川沿いのイベント会場へ到着できるか不安だったという。
「地面は車いすが通れるような平板なところなんだろうか、設備はどうなっているんだろう…」。でも、その不安はすぐに吹き飛んだ。スタッフがサポートしてくれて、開放的な空間が、明るさと元気さが前向きな気持ちにさせてくれた。
同時に、牧野さんは大阪・関西万博に向けての街の「バリアフリー化」が急激に進んだと実感している。現在、大阪の玄関口、キタの梅田やミナミの難波は、数年前とは比べものにならないくらい、道路が整備され、平坦で広いスペースが増えつつある。鉄道各社は駅のバイアフリー化を本格的に始めているが、特に大阪メトロで乗降口とホームとの段差がほぼなくなり、エレベーターの数も増えつつある。ハンディキャップを持つ人たちが日常生活で気を遣うのは、移動経路の時間。比較的スムーズになったことに少し安堵している。
2年後に開幕する万博については、「もう、そんな時期になったんだ。もっと盛り上がってもいいのに」と思うことがある。無理もない。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、民間レベルのイベントは自粛を余儀なくされたことが大きい。
この日のイベントで、改めてSDGsについて考えさせられた。「プラスチックごみといえば、ストローとペットボトルのイメージばかりが先行するが、スナック菓子のパッケージ袋やペットボトルのラベルがこれほどまでに日常にあふれていることに気付かされた。でも、(大阪モード学園の)学生さんたちの発想力でしっかりとしたデザインになっていることに驚いた」と話す。
そして、「多様性と調和、そしてSDGsを考えるファッションショーだが、環境汚染がここまで進行しているという危機感を共有する機会になった」とも話した。
車いすという、立った状態よりも低いところから見る日常。牧野さんはこの目線を「ひとつの強み」ととらえている。SDGsが「誰ひとり取り残さない」理念を大切にするならば、自らの就職活動で感じた“前例のない車いすユーザーの雇用”といった社会の壁を取り払い、さまざまな障がいを持った人たちの就労の機会を増やす仕組みを考えるのが使命だという。
【MERRY PROJECT 公式ウェブサイト】
【2025年大阪・関西万博 公式ウェブサイト】
【牧野美保・Instagram】
【大阪モード学園 公式ウェブサイト】