―――街頭紙芝居にまつわる子どもたちとのエピソードは?
【大塚さん】 一度、自宅に置いていた街頭紙芝居で使う自転車が盗難にあったことがありました。自転車がなかったら紙芝居もできない。そんなことを家の前で考えていたら、いつも見に来てくれる子どもたち10人くらいが「ほんなら僕たち探して来るわ!」と、その地域一帯を自転車で駆け回って探し出してくれたことがありました。いつも紙芝居を楽しんでくれている子どもたちに助けられて、本当にうれしかったですね。紙芝居を通して、語り部と子どもたちの間に交流が生まれる。そのことを改めて実感しました。
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大塚さんによると、令和となった現在は街頭紙芝居を行う場所などの許可が取りにくくなっており、地域から許可を受けている公園で紙芝居を続ける傍ら、保育園や小学校、老人ホームなどでも活動しているそう。長年紙芝居を行っている公園では、親子三代にわたって見に来てくれるお客さんもいるそうです。
今後地元の公園で紙芝居屋さんを見かけることがあれば、もう一度あのころのように、水あめを片手に紙芝居に夢中になってみるのもいいのではないでしょうか。
(取材・文=濱田象太朗)