サッカー・J1のヴィッセル神戸と、WEリーグのINAC神戸レオネッサは、4月29日(土・祝)、互いのホームであるノエビアスタジアム神戸で、初のダブルヘッダーに臨む。同日、午後7時からのナイトゲームとなるINAC神戸は、「2022-23 Yogibo WEリーグ」第15節、マイナビ仙台レディース戦に向けて、監督、選手、スタッフが意気込みを語った。
J1とWEリーグの同日、同会場での開催は初めてということで、注目が集まる今回のダブルヘッダー(ヴィッセルは「2023 明治安田生命J1リーグ」第10節で湘南ベルマーレと対戦、キックオフ予定は午後2時)。しかもヴィッセルはJ1で首位、INACも首位と勝点3差の2位と、上位での奮闘が目立つ。そのなかで、女子サッカーのトップカテゴリーをより多くの人々に見てもらうチャンスにと、INAC神戸の選手たちも気合いが入る。
主将で、チームの守備の要、なでしこジャパン(日本女子代表)DF三宅史織選手は、27日の公開練習後、報道陣に対応。「最近苦しいゲームも続いているが、そのなかでも負けていない(9勝3分け)というのは自分たちだけ。そういうところに自信を持ちながら、しっかり課題に向き合って毎回トレーニングをしているので、その課題(の克服)というのをしっかり試合に出さなきゃいけない」と、リーグ最少失点(12試合で8失点)を誇る守備のよさをいかしつつ、課題の攻撃面の改善にも意欲を示す。そして、「自分たちはサッカーをする側として、(観て)面白いゲーム、得点がたくさん入るゲームをしたい。せっかくの共同開催ということで、初めて観る方にも女子サッカーをいろいろ知ってもらいたいと思うので、そのためにも勝ちがすべて」と、攻撃的に勝ちに行く思いを語った。
また、4月の欧州遠征でなでしこジャパンデビューを果たしたばかりのDF守屋都弥選手は、20日の公開練習後のメディア対応で、「INACにきて8年目になるが、初めてのヴィッセルとの大きな関わり。女子サッカーが目に見えて人気が上がっていない分、私たちもヴィッセルさんの力をお借りして、少しでも盛り上げられたらと思うので、すごくありがたいなと感じている」と、ヴィッセルへの感謝をコメント。そのうえで、WEリーグでいま最も輝く活躍を見せる右サイドのハードワーカーは「一番はその試合で絶対に勝たなきゃいけない。ヴィッセルのサポーターの方がもし見てくださったら、INACも見てよかったなと思ってもらえるような試合にしたい」と、こちらも勝ちへの強いこだわりを明かしている。
今シーズン最初の対戦となった3月5日の第9節では、INAC神戸がアウェイでマイナビ仙台に勝利。拮抗した戦いを展開し、1-1で迎えた試合終盤、コーナーキックから最後はFW高瀬愛実選手(※「高」=はしごだか)が押し込み、土壇場で勝ち越し。なんとか勝利をものにした。
INAC神戸の朴康造監督は「前から積極的にプレスをかけてきて、ショートカウンターを狙ってきたり、ビルドアップでもしっかりつないでくる。最近勝ててはいない結果も、いいサッカーをしている印象がすごくある。本当に気を引き締めて全力で臨まないといけない」とマイナビ仙台を警戒。それでも、「相手もビルドアップしてくるので、自分たちも受けずに奪いにいきたい」と、今シーズンに取り組んでいる前から奪うアグレッシブな戦いでシーズンダブルを狙う。
さらに、ヴィッセルのレジェンドの1人でもある朴監督は「女子サッカーの素晴らしさというところで、INACも、マイナビ仙台も、いいサッカー、攻撃的なサッカー、守備もどんどんプレッシャーをかけるような、お互いそういったコンセプトを持っていると思うので、そのなかでいいサッカーを見せられればいいなと思う」と、女子サッカーのよさを内容で見せたいという思いも述べていた。
今回のINAC神戸の対戦相手、マイナビ仙台には、INAC神戸で13シーズンにわたってプレーした元なでしこジャパンMF中島依美選手や、かつてINAC神戸を率いて皇后杯2連覇に導いた実績を持つ松田岳夫監督が在籍。因縁の相手のノエスタ凱旋ということでも、注目の一戦となる。
試合の見どころについて、元なでしこジャパンDFで、現在は女子サッカーの解説やラジオパーソナリティーとして活躍する川上直子氏は、INAC神戸の勝負の決め手は前半にあると、ラジオ番組『カンピオーネ!レオネッサ!!』(ラジオ関西)でコメント。「マイナビ仙台はディフェンスラインがあまり安定していないので、安定しないうちに決めておきたい」と、先手必勝をポイントにあげた。また、「(INAC神戸が)どういう先発になるかはわからないが、(前節の)大宮(アルディージャVENTUS)戦をみると、田中美南選手の状態はいいのかなと思うので、彼女のところに入ったときのサポートを増やさないといけない。マイナビ仙台の松田監督は『田中のところをつぶしにいけ!』と、きっと言うはず。だから、(ほかの選手が)早目に田中選手のサポートに入って、次の展開を期待したい」と、なでしこジャパンでも活躍するエースストライカーをチームがどのようにフォローするかにも注目していた。