みなさんは、パンダのしっぽというと何色を思い浮かべますか? 雑貨やアニメ、企業のキャラクターなど、さまざまな分野で目にするパンダのイラストでは、その多くが黒いしっぽを持っていますが、実際には、お尻の部分と変わらず白色です。「しっぽは黒い」という、日本におけるパンダのイメージを作ったのは、あるクリエイターだったと言われていますが、なぜ、パンダのしっぽを黒色にしたのでしょうか?
![パンダのしっぽは白?黒?](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2023/04/%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%82%99%E3%83%88%E3%83%92%E3%82%9A230417%E3%83%8F%E3%82%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%99-1024x768.jpg)
パンダのカラーリングが白黒である理由は、雪が深い森林の中で過ごすため、白黒の体が雪景色に溶け込み敵から身を守りやすいからという説や、耳や手、足などの冷えやすい先端の部分を黒色にすることで、保温効果を持たせているという説などがありますが、はっきりとはわかっていないと言います。
1972年に日中国交正常化の証として上野動物園に初来日すると、その珍しさとかわいらしさでパンダブームを巻き起こし、陶器の貯金箱やハンカチなど、さまざまなグッズに使用されました。この1年前に日本で初めてパンダをキャラクター化したのが、マルチクリエイターの内藤ルネでした。
![1971年に発表された「ルネパンダ」](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2023/04/92204-13-4e26ad922823df3c06c6c17dfe6cb471-1652x1060.png.jpeg)
1950年代から活躍し、人気雑誌「ジュニアそれいゆ」の表紙イラストを手がけたことなどでも知られる内藤ルネは、1970年から1年間、当時としてはいち早く海外旅行に出かけます。その際に、ロンドンの動物園で出会ったのが、まだ日本には存在しなかっためずらしい動物・パンダでした。ルネはそのかわいらしさに一目惚れし、1971年に帰国すると、早速パンダをイラスト化。愛らしい2頭身にデフォルメし、「ルネパンダ」というキャラクターを発表しました。
この時、内藤ルネは、パンダの尻尾を黒色にカラーリングしています。神戸ファッション美術館(神戸市東灘区)で行われている「内藤ルネ デビュー70周年記念特別展」プロデューサーの谷川廣城さんによると、当時の原画にはしっぽが白いイラストも残っているため、勘違いで黒色にしたわけではなく、よりかわいらしくキャラクター化するために“あえて着色”したと考えられているそうです。
![原画では、白い尻尾の「ルネパンダ」も](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2023/04/%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%8F%E3%82%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%991%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%92%E3%82%9A%E3%83%BC.jpg)
この「ルネパンダ」は大ヒットし、当時のパンダブームを牽引する存在になりました。現在の様々なパンダのキャラクターたちも、この「ルネパンダ」がルーツだと考えられています。
![1971年に発表された「ルネパンダ」](https://jocr.jp/raditopi/wp-content/uploads/2023/04/%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%8F%E3%82%9A%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%992%E3%81%AE%E3%82%B3%E3%83%92%E3%82%9A%E3%83%BC-1024x752.jpg)
その誕生から50年以上が経った現在でも、「ルネパンダ」の魅力を通じて、内藤ルネの「カワイイ」にかける想いは受け継がれているようです。
(取材・文=村川千晶/放送作家)