「伊藤がどんな画家だったのか、一言では言いにくい」と川原学芸員は話すが、「基本を大切にシンプルな絵画の在り方を追求し、そこで生み出されたのは伊藤にしか描けない絵で、どれも豊かな質感で愛情にあふれている」と分析する。友人の小磯良平は「眼の前にあるものが彼の頭の中を通過することによって、忽然として彼の造形に変化して出てくる」と評したという。
芦屋市立美術博物館では、開館した1991年に伊藤継郎の回顧展を開催した。同館はこの春リニューアルされ、そのオープニングを飾るのが伊藤継郎展となった。32年ぶりの、没後としては初の大規模な展示となる。川原学芸員は「ひとりの画家であり、ひとりの芦屋人。でも芦屋の美術にとっては重要な存在。その伊藤に改めて光を当てた。絵を描くとはどういうことなのか考える機会になれば」と話す。
特別展「芦屋の美術、もうひとつの起点 ー伊藤継郎」
2023年4月15日(土)~7月2日(日)
芦屋市立美術博物館(芦屋市伊勢町12-25)
休館日 月曜日