また、大阪を代表する日本画家、北野恒富(1880~1947年)が1929(昭和4)年、高島屋の「キモノの大阪春季大博覧会」の広告ポスターのために描き下ろした「婦人図」も公開。当時、貼られたそばからなくなるほど人気だったというポスターの原画をじっくりと鑑賞できる。同作品の横に展示された森村泰昌(1951~)のセルフポートレート作品「北野恒富・考/壱」と見比べると、一層味わい深い。
そのほか中村貞似「白と赤の朝」(1967年)、泥谷文景「白猿」(制作年未詳)、木村光佑「大阪の詩―伝承(文楽)」(1987年)、山本太郎「七夕ラプンツェル」(2018年)などの絵画に加え、高波壮太郎の生命力に満ちた作品「大阪の街 コラージュ」(2010年)なども紹介。
高井学芸員は「日本の近代美術史の中で大きな特徴の一つは、展覧会が百貨店で開かれていたこと。買い物ついでに誰もが気軽に立ち寄って、芸術に接することができる環境があった。そこから、行列してでも展覧会に行く、美術鑑賞好きな国民性が培われていったのではないか」と話している。
◆企画展「FROM OSAKA~百貨店美術部モノガタリ~[第Ⅱ部 美術品を購う]」
会場:高島屋史料館企画展示室 〒556-0005 大阪市浪速区日本橋3-5-25 高島屋東別館3階
会期:5月20日(土)~7月3日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:火・水曜
入館料:無料
問い合わせ:06-6632-9102
https://www.takashimaya.co.jp/shiryokan/