精神科医に聞く 「うつ病は家族にうつる」ってほんと? 喜怒哀楽が薄くなってしまったときの対処法も | ラジトピ ラジオ関西トピックス

精神科医に聞く 「うつ病は家族にうつる」ってほんと? 喜怒哀楽が薄くなってしまったときの対処法も

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◆「うつ病を克服したのですが、喜怒哀楽の感情が薄くなってしまいました。『怒』と『哀』の感情に振り回されることがないのはいいのですが、『喜』と『楽』の感情も少ないので、やる気が湧いたり、楽しいとかうれしいと感じることがほとんどありません。今まで楽しい・好きだと思っていたことをするのは、流れ作業や義務のようにも感じています。なっちゃんや春名くんみたいにハジけて楽しめる気持ちがほしいです! どこかにやる気スイッチがあるのでしょうか?」

【井上先生】 実は、このような患者さんが非常に多いんです。病気が原因というのもあるのですが、うつ病を克服して復帰したとしても心のどこかに「再発してしまうのではないか」という不安があったり、うつ病になったことを周りの人に話した場合、その後大声で笑ったり楽しんだりすると「『あれ、この前までうつ病で休んでたんじゃないの?』と思われたらどうしよう」と感じてしまったり。自分の感情を表現してもいいのか、疑心暗鬼になってしまうんですよね。

【近藤】 それすごくあります! うつ病って目に見えないというか、レントゲンを撮って腫瘍が見つかりました、血液検査をして数値に異常がみられました、というように証明ができないじゃないですか。だから、たとえ病院でうつ病と診断されたとしても「みんなしんどいときもある」「あなたの心が弱いだけ」「気合いが足りないんじゃない?」と、まだまだ言われてしまう世の中なんですよ。

 その恐怖心があるから、そもそもしんどいと言うことができないですし、治ったあとに楽しくしていると「うつ病って言ってたのにめっちゃ楽しそうやん」とか「ほんまにうつ病やったん? 嘘やったんじゃない?」と言われるんですよね。実際私も、友人と冗談を言いながら楽しく話しているときに言われたことがあって。心の中で「あ、私って笑ったらダメなんだっけ」という感覚になるんですよね。

【井上先生】 特に仕事を休むことになってしまった場合、休んでいたことに引け目を感じて「笑っちゃいけない」と思ってしまうんですよね。

【近藤】 でもこの感覚って、風邪で休んだときにもありますよね。元気になって出勤しても、楽しそうにしていると「ほんまに風邪やったん?」と思われるんじゃないかなと思って、「んんっ」とのどを鳴らしてみたり……。周りに「風邪を引いていたアピールをしなきゃ!」みたいな。

【井上先生】 でも実際、周りの人はそんなことを感じていないということが多いんです。それなのに勝手に「うつ病だったら笑うこともできない」というレッテルが貼られていると思い込んでしまうんですよね。だから、まずは信頼できる人の前ではじけてみるのがいいんじゃないかと思います。

【春名】 好きなアーティストのライブに行って、周りのまったく知らない人たちと盛り上がるのもいいかもしれないですね。

【近藤】 周りの人はそこまで自分のことを気にしていない、というのは事実ですよね。私も最近はそれを意識して、周りの目を気にしすぎないようにしています。

【井上先生】 ただ、人は自分がコンプレックスに思っている部分は人のことも気にしてしまうという傾向があって、たとえば自分の顔にコンプレックスがある人は、他人の顔も気になってしまうんです。

 うつ病の人はある意味自分の心の状態にコンプレックスを持っていることが多いので、「この人はこんなに明るくて、こんなに楽しんでいるのに自分は全然楽しめていない……」というように、つい周りの人の喜怒哀楽と自分を比べてしまうんですよね。

 そこまで気にしなくてもいいのですが、周りの人と比べてしまうのは仕方がないということを分かったうえで、信頼できる人の前で自分をさらけ出していただきたいと思います。

※ラジオ関西『Clip月曜日』2023年5月22日放送回より

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『Clip月曜日』
放送日時:毎週月曜日 14:30~
放送局:ラジオ関西(AM 558khz / FM 91.1mhz)
パーソナリティー:シンガーソングライター近藤夏子、春名優輝アナウンサー

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